2005年05月16日(月) 10時51分
学級連絡網様変わり、個人情報漏れ不安→一斉メールも(読売新聞)
学校からの連絡事項をクラス全員に伝える手段として活用されてきた「緊急連絡網」が、様変わりしつつある。
4月から個人情報保護法が全面施行されたことで、住所の掲載を見送ったり、クラス全員に配るのをやめたりする学校が急増。緊急情報は保護者にメールで一斉送信するという学校も出始めた。
茨城県土浦市の私立・土浦日大中は今年度から、クラスの生徒を5つほどのグループに分け、そのグループ内だけに連絡網を配った。流出の危険性を最小限に抑えるためで、連絡網には生徒の氏名と電話番号しか書かれていない。
掲載の了承が得られない家庭については、「電報」などの代替措置も検討したが、最終的に掲載を拒否した家庭はなかったという。
今回の法施行で、生徒の個人情報の取り扱いが定められたのは主に私立学校で、情報の適正取得や第三者提供の制限などが求められるようになった。公立については、条例などで規定している地域が目立つが、文部科学省の担当者は「法施行で保護者の関心が高まり、公立でも一層慎重に対応するようになったところが多いようだ」と話す。
東京の板橋区教委は4月25日付で、区内の全公立学校に連絡網づくりの注意事項を通知した。一部の保護者から「電話番号を載せるのは問題ではないか」との指摘が寄せられたためで、〈1〉連絡網の作成は保護者の了解を求め、了承が得られない場合は記載しない〈2〉盗難や紛失などで情報が流出しないよう、各家庭に周知する——などを求めた。
区内には今年度から連絡網に住所を載せるのをやめた小学校もある。
これに対し、横浜市都筑区の市立荏田東第一小は今年度から、連絡網の作成をやめ、代わりにメールによる一斉送信を導入した。PTAが民間の情報配信会社と契約し、校長とPTA会長が送信を了承した文章のみを保護者に一斉送信する。費用はPTA会費から捻出(ねんしゅつ)している。「父親の勤務先のパソコン」と「母親の携帯電話」などの組み合わせで申し込む保護者も多く、すでに363家庭から631件の登録があった。
こうした動きを巡り、保護者や子どもたちからは「友人の家が分からない」「年賀状が書けない」などの声も出ているが、同小の桑原偕実(ともみ)校長は「住所や連絡先は、互いに教え合えば済む。子どもたちにとっては、それがコミュニケーション能力を身につける学習にもなるのでは」と話している。
(読売新聞) - 5月16日10時51分更新
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