2005年05月14日(土) 03時03分
<悪質リフォーム>認知症夫婦680万円、勝手に工事 京都(毎日新聞)
京都市右京区の認知症(痴呆)の高齢者夫婦が00〜04年、業者が勧めるまま自宅の改修をされ、少なくとも18回、計680万円以上の工事代金を支払わされていたことが13日、分かった。夫婦は一度も自ら工事を申し込んでいないのに、業者からの請求が今も絶えない。このため、親族が4月に取引銀行や京都府警に相談。銀行は引き出し額が多い時は目的を問い合わせるようにし、府警も銀行に連絡を要請した。判断力のない居住者につけ込んだ悪質リフォームの例がまた一つ明らかになった。【石川勝義】
夫(83)は昨年9月に入院し、妻(79)は木造2階建て(延べ36平方メートル)の自宅で独り暮らし。屋根裏の柱や梁(はり)は補強金具だらけで、床下には換気扇が3台もある。領収書などで確認できる工事以外に、今年3月ごろ、若い男が勝手にはしごを掛けて上がり、「屋根を直した」として50万円を請求。その後、別業者を名乗る男も「一緒に仕事をした」として40万円を請求し、妻は全額支払った。最初の男はメモ帳に領収書を書いたが、2人目の男が持ち帰った。
「欠陥住宅全国ネット」に所属する1級建築士の越野孝之さんは「一般的な基準と比べて金額が高く、金具が異常に多く取り付けられ、意味のない補強工事もある」と指摘する。
夫婦の親族によると、夫は00年から認知症の症状がみられ、入院時に最重度の要介護5と認定された。妻は同1で足も悪いため、補修部分のほとんどを見たことがない。昨年までの工事は「夫が対応し、よく分からない」と話すが、今年の分は「怖いから払った。殺されなくてよかった」とおびえている。
領収書などがある12社のうち、屋根裏の補強工事をした会社の社員は「会社として答えられない」と対応を拒否。電話が使えなくなりホームページを抹消した業者もあったが、「通常は認知症の人と契約することはない。契約者が分かればきちんと調べたい」と話す業者もいた。
欠陥住宅問題に詳しい木内哲郎弁護士は「夫は契約書の理解力がなかったとも考えられ、経過時間を問わずクーリングオフが効くと解釈していいのでは。高齢者にも未成年者と同様に契約の取り消し権を認めて保護すべきだ」と訴えている。
(毎日新聞) - 5月14日3時3分更新
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