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2005年05月07日(土) 13時03分

認知症の高齢姉妹宅、不要リフォーム3600万読売新聞

 埼玉県富士見市に住む80歳と78歳の姉妹が、3年間に計約3600万円の住宅リフォームを繰り返し、代金が払えずに自宅が競売にかけられていたことが7日、わかった。

 リフォーム工事を契約した業者は少なくとも16社に上る。姉妹は身寄りがなく、ともに認知症(痴呆(ちほう))と診断されており、訪問業者に勧められるまま、内容がわからずに契約し続けた可能性が高いという。建築士は、大半が不必要な工事だと指摘している。競売は、富士見市がさいたま地裁川越支部に申し立てを行い、中止された。

 同市によると、今年3月上旬、近所の人から、姉妹の家が競売にかけられているようだとの問い合わせがあった。

 市嘱託の消費生活相談員が姉妹の自宅を訪ねたところ、2002年春ごろから今年初めにかけての、ネズミやシロアリ駆除、床下の湿気予防、換気扇の取り付けなど約3600万円に上るリフォーム工事の領収書や請求書が見つかった。

 中には1社で5件以上の契約をしていた業者も複数あった。

 約4000万円あったとされる姉妹の預貯金はすべて引き出されていたが、工事代金がさらに約700万円不足したという業者側の申し立てで、姉妹宅が競売にかけられた。

 姉妹が事態を把握していない様子だったので、同市が医師に診察を依頼したところ、認知症と診断された。

 同市の依頼で姉妹宅を調べた同県入間市のNPO法人「ピュアライフ・ネットワーク」理事長で1級建築士の石田隆彦さん(42)は、「本来は床下にまく湿気予防剤が庭にまでまかれ、屋根裏には必要以上の補強金具が取り付けられるなど、ほとんどが不必要なリフォーム工事。適正価格の10〜20倍の代金を支払った工事もあった」と話している。

 富士見市は、「業者に対し、代金を姉妹に返すよう求めていきたい」としており、姉妹に代わって契約の取り消しなどを業者と交渉する成年後見人の選任を、さいたま家裁に求める方針だ。
(読売新聞) - 5月7日13時3分更新

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050507-00000004-yom-soci