2005年04月24日(日) 01時39分
「ウイルスバスター」でPC障害、原因はチェックミス(読売新聞)
コンピューターウイルス対策会社「トレンドマイクロ」(東京都渋谷区)のソフト「ウイルスバスター」の更新ファイルの不具合により、23日、企業などのパソコンが正常に作動しなくなった問題で、同社は更新ファイルの完成後、不具合をテストしないまま配信していたことが分かった。
週末のため大きな混乱は起きなかったが、専門家からは、「ネットワーク社会が抱える脆弱(ぜいじゃく)性の一端が示された」として、社会全体で対策を講じる必要性を指摘する声が上がった。
更新ファイルは、新たに現れたウイルスを駆除できるよう、ウイルスバスターを最新状態にするためのデータ。同社の大三川(おおみかわ)彰彦・日本代表は23日夜、記者会見し、「ファイルの完成後、必要なテストをしなかった人為的なミス」だったことを認めた。
ウイルスバスターは国内で最も普及しているウイルス対策ソフトの一つで、9か国語に翻訳され、日本を含む25か国で販売されている。トレンドマイクロでは、ホームページ(HP)で復旧手順を説明したが、今回の不具合でパソコン自体が動かず、HPそのものを見ることができなかった利用者も多かったと見られ、同社には個人利用者や企業から7万件を超す問い合わせが殺到した。米国からも数百件の問い合わせがあったという。
佐々木良一・東京電機大教授(情報セキュリティー)は今回のケースについて、「現代のネットワーク社会はコンピューターが様々に影響し合って成り立っており、一部の障害が社会全体に広がる危険性が常にあることを示した」と指摘。「平日なら大きな影響が出た可能性があるだけに、早急に対策を考える必要がある」と話す。
森井昌克・神戸大工学部教授(情報通信工学)も、「多くの人が同じウイルス対策ソフトをパソコンに入れている状況では、パソコン利用者が今回のような欠陥データの影響を一斉に受けることは今後も起こりうる。ウイルス対策会社は、障害を回復させるための対策を事前に周知させておく責任がある」と強調している。
トレンドマイクロでは今回の障害への対策について、電話(個人用03・5334・1441、企業用03・5334・3620)で応対している。
(読売新聞) - 4月24日1時39分更新
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