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2005年04月22日(金) 00時00分

独禁法改正 談合体質を変える好機 東京新聞

 「経済憲法」と呼ばれる独占禁止法の改正案が成立し、来年一月にも施行される。課徴金の大幅引き上げなど二十八年ぶりの大改正だ。産業界は談合撲滅を真剣に考える好機とすべきである。

 独禁法改正案は本来、昨秋の臨時国会で成立する予定だった。市場の番人・公正取引委員会にとって独禁法強化は宿願だった。課徴金を欧米並みに引き上げるとともに公取委の機能強化と人員増加を行って、後を絶たない談合やカルテルなど不公正取引の根絶を目指す。その態勢がようやく整う。

 課徴金の引き上げは大企業が製品売上高の現行6%を10%へ、中小企業は同3%から4%とする。これは過去の不当利得率である平均16・5%を基準にした数字だ。違反を繰り返す悪質な大企業への課徴金は五割増の15%と重くする。

 その一方、公取委の調査開始前に違反を最初に自ら申告した企業には課徴金を全額免除し、二番目の企業は半額、三番目は三割減額する制度も導入した。カルテルなどからの離脱を促す“アメ”の措置だ。また違反企業には課徴金と刑事罰(罰金)の両方が科せられるケースもあるが、罰金の半分を課徴金から差し引く調整規定も盛り込んだ。

 こうした厳罰化と緩和策は談合などの「抑止力強化」を意図したものだ。今回の措置で談合撲滅の効果がみられなければ、公取委は法施行後二年以内の見直し規定に基づき、課徴金を再度引き上げる意向を持っている。米国は違反期間中の売上高の15−80%、EUは総売上高の10%以下と日本よりかなり厳しい。

 公取委は本年度予算で審判官を二人増やして七人体制とする。事務局の定員も三十四人純増の七百人強とするなど着々と組織強化を図っている。検察庁と連携を強めるとともに、立ち入り検査から審査・審判まで迅速に進める方針だ。今後は「準司法機関」として国民の一層の信頼を獲得するよう努力してほしい。

 日本経団連は今後、企業に対する制裁は課徴金と罰金の二重処罰ではなく課徴金へ一本化することや、課徴金制度の見直しなどを働きかける方針だ。それも結構だが、建設業界などに呼びかけ営業現場での談合体質の根絶に取り組んでもらいたい。

 新潟市などで発覚した公共事業をめぐる官製談合は政府・与党にとって大きな課題だ。現行の官製談合防止法には発注する役人への刑事罰がない。これでは不祥事はなくならない。自治体の無駄遣いや不正行為への国民の視線が厳しくなっている現在、早急に見直す必要がある。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sha/20050422/col_____sha_____002.shtml