2005年04月21日(木) 17時01分
左京区の女性殺害:被告、マルチ商法失敗で借金が雪だるま式−−地裁初公判 /京都(毎日新聞)
◇被害者に恨み
左京区のマンションで今年1月、税理士事務所事務員、前田育子さん(当時49歳)が刺殺された事件で、強盗殺人などの罪に問われた同区北白川久保田町、飲食店経営、岩知道(いわちどう)吉隆被告(54)に対し京都地裁(東尾龍一裁判長)で20日開かれた初公判で、検察側は同被告が経営難をきっかけにマルチ商法に加入するなどし、多額の借金を重ねていった経緯を詳述した。
検察側の冒頭陳述によると、岩知道被告は飲食業組合組織の確定申告相談会などを通じて前田さんと知り合った。飲食店は京都大の近くにあり、周辺に飲食店が増えて83年ごろから経営が悪化した。
同被告は98年ごろ、前田さんの夫(01年に離婚)から、健康補助食品などを購入して会員資格を得、自分の下に会員を増やして利益を得るマルチ商法の誘いを受けた。消費者金融から25万円を借り入れて参加したが、失敗。さらに夫から同区内の別の店舗への移転も進められ、金融機関から約1400万円を借りて00年に新店舗を開業したが、軌道に乗らなかった。
同被告は01年夏には夫からの再度の誘いで、別のマルチ商法に参加。この資金のため前田さんから250万円を借りたが、約270万円の損失を出した。
前田さんからの借金は弟から200万円を借りるなどして返済、02年5月に母親所有の不動産を売り、03年3月に新店舗を閉鎖。元の店舗に戻るため、同年4月に改装費として弟から350万円を借りた。
だが、経営不振で03年度は480万円の損失を計上し、04年5月に消費者金融から750万円、弟から100万円をそれぞれ借りた。05年1月の時点で負債は1000万円を超え、同月5日に迫った消費者金融に対する約16万円の返済に苦慮していたという。
こうした経緯から、検察側は岩知道被告が、困窮の原因が前田さんと元夫にあると考え、資産家の前田さんを襲うことを計画したと指摘した。
岩知道被告は1月21日未明、同市内の名神高速道路で乗用車を分離帯に衝突させ、助手席の母親(当時91歳)を死亡させたとして業務上過失致死の罪でも起訴されており、この認否は次回公判(5月9日)である。
4月21日朝刊
(毎日新聞) - 4月21日17時1分更新
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