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名古屋市内の物流センターに大阪市の業者から「消火器の定期点検にうかがいたい」と電話があったのは、二月下旬のこと。「定期点検」との言葉に、電話をとった従業員は以前からの契約業者と思い込み「二十八日ならいいですよ」と返事した。
その日の夕方、業者が訪問。十八本の消火器のうち九本を集めると、慌ただしく「預かり証にサインしてください」。従業員は言われるままにサインした。
三月に入ると業者から電話があり「中身を詰め替えたが、お金は用意できていますか」と、約十六万円を請求された。通常、請求は物流センターを管轄している三重県内の営業所にあるはず。「なぜ、自分のところに」。従業員は疑問に思ったが、決裁権のある営業所には業者からの連絡はなく、点検そのものを知らされていなかった。しかも請求額は、以前、契約業者から見積もった額の三倍以上。預かり証と思ってサインした書類が契約書だったこともその時初めて知った。
「だまされた」。ようやく気づいた従業員は弁護士に相談。契約は成立しないとして、弁護士を通じ、代金の支払い拒否と消火器の返還要求の内容証明郵便を業者に送った。
総務省消防庁によると、こうしたトラブルは急増しており、二〇〇三年で千二百六十件が確認されている。〇四年は未集計だが、さらに増える見込み。名古屋市消防局によると、同市では〇三年の六十三件から〇四年は百九十四件と三倍以上に達した。
消火器の訪問販売は、一般家庭を対象にしたものが多かったが、最近では事業所がよく狙われる。決裁権のある責任者には会うことはなく、契約業者を装って、その場に居合わせた従業員にサインをさせるという。点検には忙しい就業時間中に訪れるため、中身を確認しないままサインをしてしまうことが多いようだ。
こうした手法の契約に、神戸地裁と大阪高裁はそれぞれ〇三年三月と七月、クーリングオフ(無条件解約)を認めた判決を出している。
消防庁などは、トラブルを防ぐ手段として、こうした業者の存在をアルバイトを含めた従業員に徹底的に知らせ、点検を承諾する前に、訪れた業者が以前からの契約業者かを確認することを強調。さらに差し出された書類の中身をきちんと確認し、安易にサインしないよう呼び掛けている。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kur/20050414/ftu_____kur_____001.shtml