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2005年04月12日(火) 00時00分

UFJに9億円賠償命令 相続税対策の融資で高裁 東京新聞

 バブル期に三和銀行(現UFJ銀行)から相続税対策として勧められ10億円を借り、不動産を購入した都内の男性(故人)の妻が「銀行の説明義務違反で損害を受けた」として約11億8000万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は12日までに、同銀行に説明義務違反があったことを認め、約9億1000万円の支払いを命じた。

 判決理由で西田美昭裁判長は「銀行は男性が3年以内に死亡すれば相続税対策にならないことを説明する義務があったのに怠り、妻らに損害を負わせた」と述べた。

 一審東京地裁は2003年11月、同銀行の債権を引き受けた債権回収会社の反訴だけを認め、妻ら遺族に対して約9億円を銀行側に支払うよう命じた。高裁はその後の遅延損害金を含めて、約10億4000万円を支払うよう遺族側に命じたが、銀行側に支払いを命じた賠償額と相殺されることになる。

 判決によると、男性の遺族は1989年、同銀行の行員に相続税対策を相談。「不動産を購入すれば相続税を軽減できる」と勧められ、男性が81歳だった90年3月に同銀行から10億円の融資を受けて新潟市内の不動産を取得した。

 相続税は、実勢価格を大幅に下回っていた路線価などが基準となるため、当時この手法が多用された。しかし88年の税制改正で、不動産取得後3年以内に死亡した場合は取得価格で課税されることとなり、相続税対策にはならなくなった。

 男性は91年8月に83歳で死亡。このため税対策にならなかった上、不動産を2002年に売却した際は1億7000万円まで下落していた。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/detail/20050412/fls_____detail__027.shtml