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金融関係の会社に勤める男性会社員Aさん(50)は、社会人の息子(22)の金銭感覚が甘いと嘆く。
「車がほしいと言うので『お前の収入なら中古の三十万円の車で我慢しろ』と話し、息子も納得しました。ところが、自動車販売店でセールスマンに言いくるめられ、二百二十万円の車を買うことを決めてきたんです」
Aさんはあわてて販売店に行き、懸命にお願いをして、この話をなかったことにしてもらった。セールストークの巧みさには舌を巻く。
「『毎月いくらなら払えますか』と尋ねられ、息子が『五万円』と答えると『それなら六十回、五年間の分割払いで、いい車が買えますよ』と誘導したようです」
この分割払いの金利は年10%以上で、利息は総額で八十万円になる。Aさんは「息子は、金利や利息に無頓着すぎる。片方でぜいたくをすれば、もう片方では節約をしなければならないが、そんなことも分かっていない。同居なので私に話をして助かったけど、そうでなければ多重債務者への入り口をくぐっていたでしょう」と話す。
親と同様な心配をする会社経営者もいる。
ディスカウント総合デパートの多慶屋(東京・御徒町)は消費生活に関する新入社員研修を行った。講師は、多重債務者を救う活動をしているNPO法人「女性自立の会」理事長の有田宏美さんと消費生活アドバイザーの河合直美さん。
有田さんは「多重債務は身近な問題。だれでも多重債務者になる危険はあります」と強調。最初の借り入れの理由がちょっとしたことでも、返済のためにまた借りるといったことを繰り返すうちに多重債務者になってしまうと説明した。
そして、クレジットカードやローンカードに関して「(お金が出てくる)打ちでの小づちのように使ってはだめ」とアドバイス。「断れない性格や見えを張る性格だと危ない」「他人と比較して生きて幸せになることはない」とも諭した。
そして、給料が月二十万円の場合の家計を例示。しっかり考えてほしいと呼び掛けた。
「親と離れてアパートで暮らすときは、毎月六万円ほどの家賃と二、三万円の光熱費がかかったりします。親と暮らしている友だちに比べて使えるお金は相当に少ないのです。それでも友だちは『一緒に旅行に行こう』と誘います。断り切れますか」
消費トラブルの事例として河合さんが説明したのは「クレジットの名義貸し」。安易に契約することの危険性を教え、資料を見せて悪徳商法の手口を紹介した。
「キーワードとして覚えておいてほしいのは『欲』と『思い込み』です。悪徳業者は欲とか見えを巧みにあおって消費者をその気にさせます。いろいろな思いこみも使って錯覚させます」
有田さんや河合さんは「学校や家庭での金銭教育や消費者教育は十分でなく、今回のような若い人向けの研修の必要性を痛感している」と話す。
Aさん、有田さん、河合さんらの話を総合すると、新社会人らが心すべきことは(1)収入に見合った支出に抑えていく(2)クレジットカードやローンカードはむやみに使わない(3)借金返済のための借金は厳禁(4)悪徳商法の手口は一通り覚えてひっかからないように注意する(5)契約は慎重にする(6)困ったときは、信頼できる人に早めに相談する−といったことになるようだ。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kur/20050331/ftu_____kur_____001.shtml