2005年03月30日(水) 11時17分
迫る施行、募る不安 個人情報保護法 1日から(琉球新報)
住所、氏名などの個人情報の取得や利用にルールを設け、目的外の使用を制限した「個人情報保護法」が4月1日に全面施行される。顧客を多く有する県内企業では、施行が迫り情報漏えい対策に神経を配るが、「万全な対策」という面では、苦慮しているようだ。開業医などの中には「業界の最終ガイドラインがまとまったのは今年に入ってから。施行日までに罰則などの完全な読み込みは難しい」と“見切り発車”を不安視する声が聞かれる。
二月に顧客の氏名、口座番号、振替料金が記載された六十九人分の顧客情報リストが紛失した県労働金庫(本店・那覇市)は、顧客情報の持ち出し防止策に努める。法施行に向け、個人情報の把握のためにデータ管理台帳を整理、個人情報のアクセスには履歴を残すことにした。担当者は「個人情報についての考え方を百八十度変えたい」と話し、取り組みにかなり労力を費やすとみている。
医療機関は厚生労働省がガイドラインの改訂版を随時発行し、業界としての周知徹底を図ってきた。しかし最終ガイドラインは今年に入りまとまった。専門のカルテルームを設けたり、電子カルテを採用する総合病院などは落ち着いた対応がみられるが、小規模病院には危機感も。本島中部で開業する五十代の男性医師は「情報管理や罰則規定などすべてを読み込むにはもっと時間がいる」と話し、四月からの万全なスタートに不安感を見せた。
県医師会でも、「完ぺきな状態で法施行スタートを迎えることはできない。継続して取り組むことが重要だ」と見解を示す。
“見切り発車”は行政サイドでも見られる。県は地方公共団体の役割が国から示された昨年六月、説明会を実施し、三百二十業者が参加したが、県による説明会はこの一回のみ。同法案の県内の対象企業数は把握できていない。県行政情報センターは、法施行に向けての対応不足を認めている。
(琉球新報) - 3月30日11時17分更新
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