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2005年03月29日(火) 01時37分

3月29日付・読売社説(1)読売新聞

 [BSE]「全頭検査見直しの遅すぎた結論」

 国内基準を国際標準に近づけるのに、これほど時間をかける必要があったのか。

 内閣府の食品安全委員会の専門家グループが、国内産牛に対するBSE(牛海綿状脳症)検査基準の緩和を容認する方針を決めた。全頭検査を改め、月齢20か月以下の牛を除外する内容だ。

 安全委は一定の手続きを経て、来月中に厚生労働、農林水産両省に正式に答申する。2001年10月以来の全頭検査は6月にも幕を下ろすことになる。

 牛の月齢を問わず、全頭検査を実施してきたのは世界で日本だけだ。

 BSE発症によるパニック的な牛肉離れを抑えるため、緊急避難として導入され、一定の効果はあげた。だが、全頭検査を続けても、若過ぎる牛については感染の確認が困難なことは、専門家の常識だ。騒ぎが鎮静化した後は、日本もすぐに全頭検査を解除すべきだった。

 ところが、専門家グループは、当然の結論を出すのに、諮問から半年間も議論を続けた。会議開催が3、4週に1回という議事運営にも問題があった。

 今回、検査対象の月齢が、20か月とされたのは、全頭検査で感染が確認された最も若い牛が21か月だったからだ。

 だが、家畜の国際的な安全基準を決める国際獣疫事務局(OIE)は、対象月齢を30か月以上としている。

 欧州では、この基準に基づいて検査を実施している国が大半だ。日本が新しく対象とする「20か月」でも、国際標準には依然、程遠いと言わざるを得ない。

 今回の全頭検査見直しで、輸入がすぐに再開されるかといえば、そう簡単ではない。今度は、米国産牛肉のリスクについて、安全委の判断が必要となる。

 厚労省などは、安全委に対する諮問内容を「脳や脊髄(せきずい)など、危険部位を除去した、20か月以下の米国産牛肉が安全かどうか」に絞る方針という。議論の拡散を防ぐのが狙いだ。

 当初は、「月齢20か月」をどう確認するか、米国内で危険部位がきちんと除去されているか、などの点についても諮問すべきだとの意見もあった。

 月齢確認については、肉質などで判断が可能、とする米側の提案を日本側が基本的に受け入れている。安全委で改めて議論するまでもあるまい。

 安全委は、新しい諮問を受け次第、すぐ議論に入る必要がある。スローモーな対応では、怠慢のそしりを免れまい。

 政府は、全頭検査を解除しても、危険部位の除去を徹底すれば、牛肉の安全性は十分確保されることを、国民に重ねて説明すべきだ。

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20050328ig90.htm