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2005年03月28日(月) 15時36分

“中小救済”融資食い物 同一?グループ 1億円返済せず破産産経新聞

東大阪市、刑事告訴も検討
 大阪府東大阪市の外郭団体「東大阪市中小企業振興会」が、資金繰りの苦しい中小企業を対象に行った融資のうち、同一とみられるグループへの融資約一億円分の返済が焦げ付いていることが二十八日、分かった。融資を受ける業者同士が連帯保証人になり合うなどして融資を引き出し、その後、破産したり、行方不明になったりし回収不能になっている。苦しい台所を抱える“モノづくり企業救済”融資制度が狙われたとみられ、同市は詐欺容疑などでの刑事告訴も検討し、調査をはじめている。
 問題の融資は、振興会が平成十二年度から十五年度まで実施した「経営活性化資金融資」。
 経営悪化した市内の中小企業への運転資金などとして、同振興会が信用保証するかたちで、金融機関から上限三百万円(十三年九月から百五十万円)を融資する制度。決算書や納税証明書などの財務諸表を審査し、中小企業診断士による経営状況の調査を経て、市幹部らで構成する審査会で融資を決定していた。
 同市によると、四年間で二百九十四件、計七億九百十万円の融資が行われた。しかし当初から返済の延滞が目立ち、同振興会に100%出資している同市が十三年度から代位弁済を開始。十六年度までに約四割の百十六件分の約計二億五千万円を肩代わりして弁済している。現状では、約千五百万円が回収されたが、他は回収の見込みが薄いという。
 このうち、同一グループが引き出した融資は焦げ付き分の半分にあたる。融資申し込み書類には、グループの中心人物とみられる男性の紹介を受けた業者同士が互いに連帯保証人になり合う、いわゆる「相保証」を行い、融資を引き出す。同一人物で融資を受ける際と保証人になる際で住所が異なるケースもみられた。その後、延滞を繰り返したうえ、業者と連帯保証人の多くは破産したり、行方不明になったりしており、全額回収の見込みは立っていない。
 悪質なグループに融資を許した背景には、この融資制度が“救済目的”のため、通常の融資の基準よりも審査が甘くなりがちだった点にある。書類審査の後、融資を決定するのは事実上、市幹部らで、融資を断ることが難しいケースもあったという。同市経済総務課は「金融機関から融資を受けられない企業を助けるための“駆け込み寺”的な融資だった」と説明する。
 この問題を調査した市議は「これらのグループへの融資のうち約一億円が焦げ付いている。こうしたずさんな融資は市の責任だ」と指摘。市側はすでに調査を始めており、同課では「融資の実態の全容解明を急ぎ、悪質なケースと認められる融資先には刑事告訴も検討する」としている。
(産経新聞) - 3月28日15時36分更新

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050328-00000030-san-soci