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2005年03月17日(木) 00時00分

マンション投資は慎重に 勧誘に関する相談や苦情相次ぐ 東京新聞

 投資用のワンルームマンションの勧誘電話を受けた人は多いのでは。「住宅ローンを組んで東京のマンションを買って、部屋は他人に貸しませんか」と、分譲会社の営業マンが全国各地の会社員や公務員などを勧誘している。営業マンはメリットを強調しがちだが、見込みがはずれる危険性(リスク)も大きい。ワンルームマンション投資の注意点を考えてみた。 (白井 康彦)

 分譲会社各社のパンフレットや新聞広告にもメリットがずらりと並べられている。「年金対策になる」「節税になる」「高い利回りが見込める」といったものだ。

 国民生活センター(東京)や各地の消費生活センターには、勧誘に関する相談や苦情が入っている。同センター情報分析部によれば「勧誘電話のしつこさへの苦情が目立つほか『契約後に不安になって解約したくなった』という相談もあった」という。

 ワンルームマンション投資では、購入資金を用意できないときは、分譲会社と提携している金融会社や銀行の住宅ローンを使う。契約者が死亡した時にローン残高が支払われる団体信用生命保険にも加入する。

 買った部屋は、若い社会人や学生に貸す。入居者募集や部屋の管理、家賃の回収は、分譲会社かそのグループ会社が担当する。分譲会社は「入居者がいなくても家賃の八、九割を投資家に払う」といった家賃保証もする。

 住宅ローンの返済を終えた老後は、毎月の家賃収入が年金のように手に入る。これが業者が強調する年金対策の中身だ。住宅ローンの返済利息や部屋の減価償却費などが必要経費として計算されるので、所得税の確定申告をすれば所得税額が減る。これが節税対策の中心で、相続税の節税になると勧めることもある。

 「家賃保証があるので、空き室で家賃収入が手にできなくなる心配をしなくていい」「投資した人が死んでも生命保険でローン残金は保証されるので、遺族は部屋や家賃収入をそのまま受け継げる」といったセールストークも盛んに使われる。

 年間の家賃収入をマンション購入金額で割った表面利回りを挙げて「年4、5%が見込める」と、高利回りを強調する場合もある。営業マンは勧誘した人が興味を示すと、マンション購入後の収支予測を示したシミュレーション表を見せる。

 一方、不動産に詳しいファイナンシャルプランナー(FP)らはリスクをいくつも挙げる。名古屋市を中心に活動している吉田貴彦さんは「家賃保証があっても家賃そのものがじわじわ下がると、家賃収入は減っていく。この点をしっかり理解してほしい」と話す。分譲会社の示すシミュレーションでは、家賃が下がらないとされている例が目立つという。

 契約の中身をよく読むと、家賃相場が大きく下がった時などに分譲会社側が「家賃保証を解約できる」とされていることも多い。分譲会社が経営破たんしたときには、家賃保証が消えてしまうことも予想される。吉田さんは、高利回りについても「表面利回りをうのみにしてはだめ」とアドバイス。家賃から経費を引いたりして実質的な利回りを計算すると、大幅に低くなるというのだ。

 FPらは、分譲会社が勧める住宅ローンがほとんどの場合、金利変動型であることもリスクとして挙げる。日本の超低金利の状況が終わったら、住宅ローンの返済額が急増してシミュレーションが大幅に狂うからだ。「部屋を途中で売ろうと思ったときに、思うような値では買い手がつきづらい」という声もある。

 こうした指摘に対して、ある分譲会社の幹部は「わが社は家賃が下がらないと見込める場所にマンションを建てており、リスクは小さい。超低金利は変わりそうになく、わが社が経営破たんする恐れもない」と話す。

 ワンルームマンション投資は、景気や金利、地価などさまざまな要因によって収支が左右される。投資家側は、それらの要因を慎重に総合判断する姿勢が必要だ。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/kur/20050317/ftu_____kur_____001.shtml