2005年03月14日(月) 21時02分
<経産省官僚告発>同省に大きな衝撃 前係長、懲戒免職へ(毎日新聞)
経済産業省の中原拓也前係長が証券取引法違反(インサイダー取引)容疑で証券取引等監視委員会から告発されたことは、同省の信用を大きく傷つけた。杉山秀二事務次官は14日の記者会見で「嫌疑の内容は、公務員として絶対に許されない」と陳謝。職員の株取引の規制強化や研修の充実など、再発防止に取り組む考えを示した。捜査を見極め、容疑が事実と判明した段階で懲戒免職するとみられる。
経産省への一報は、同日午前の報道機関からの問い合わせだった。証券監視委に確認。中原前係長はこの日も通常通り出勤していたが、正午過ぎ、秘書課付への異動と自宅待機を命じた。中原前係長は「申し訳ない」と頭を下げたという。
中原前係長は、米国「コダック」日本法人による産業再生法申請の際、同省情報通信機器課係長として審査を担当。申請書には、コダックが産業再生法の特例による株式交換方式で、当時、東証2部に上場していたチノンを100%子会社化する計画が書かれていた。
バブル崩壊後、過剰債務に陥った企業の再生を支援する切り札として同法は99年に施行され、03年の抜本改正後、135件が認定された。認定されれば、登録免許税が軽減されるなどの優遇措置が受けられるため、審査では機密情報を含む詳細な事業計画の提出が必要。中原前係長はインサイダー情報の「宝の山」を手にしていたわけだ。
機密情報を多く手にする官僚が、インサイダー取引をしていては公正な市場は成り立たない。同省は、株取引状況の報告を義務づける対象(現在は審議官以上)の拡大などを図る考えだが、前代未聞の失態からの信頼回復には時間がかかりそうだ。【塚田健太】
(毎日新聞) - 3月14日21時2分更新
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