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2005年03月11日(金) 17時03分

偽造キャッシュカード問題:京都銀、指の静脈での本人確認システム導入へ /京都毎日新聞

 ◇他の機関も被害補償など対策、連携や手数料負担など問題も−−偽造や盗難被害深刻
 キャッシュカードの偽造や盗難の被害が深刻化する中、府内金融機関が不正使用対策を相次いで明らかにした。被害補償の充実のほか、京都銀行は全国の地銀に先駆けて指の静脈を読み取って本人確認するシステムの導入を表明。ただ、他金融機関との連携、利用者の手数料負担など普及に向けた課題もある。【野上哲】
 ◆激増する被害
 全国銀行協会がまとめた全国180行へのアンケート調査によると、偽造カード被害は01年度に1件(被害額1900万円)だったのが03年度以降に急増。昨年度は4〜12月だけで307件(同8億700万円)に上った。今年1月には警視庁によるゴルフ場支配人を取り込んだカード偽造団摘発もあり、金融庁が予防策検討に乗り出し、大手行は対策を加速している。
 ◆生体認証で“対抗”
 京都銀行は今月8日、今年11月から、従来の磁気テープに比べて大容量データを入れられるIC(集積回路)が付いたカードを発行し、生体認証システムを導入すると発表した。窓口でのICカード発行時、個人ごとに違う指の静脈の形を光で読み取ってデータをIC内に登録。利用の際には、読み取り機付きATM(現金自動受払機)に指を置き、データをICの情報と照合し、本人かどうか確かめる仕組み。「当行は偽造カード使用の報告はないが、社会的要請から導入を決めた」と担当者は話す。
 けがなどに備え、複数の指を登録。登録時間は数分、ATMでの読み取りは1秒以下で済む。従来の磁気と違い、IC読み取りには「鍵」が必要で偽造は困難という。一方、静脈データは個人情報で、銀行側は「照合対象はあくまでカードのIC。ATMや行内のコンピューターには残らない」と強調する。
 ◆客への浸透に課題
 京都銀は全126店に最低1台、指認証装置付きのATM配置を進める計画。ただ、ICカードは希望者への発行にとどめ、かつ従来の磁気も併用する。現行カード250万枚のうち、どれだけICに切り替わるかは不透明だ。池田紘章・京都銀専務は「お客さんは指認証機能のないコンビニATMなども利用する。動向を見極めたい」と言う。生体認証方式は静脈でも手のひらと指と2種類あり、東京三菱などは手のひら、三井住友や日本郵政公社などは指と方式が分かれている。犯罪者が他行ATMで引き出せれば、生体認証のメリットは薄れる。互換性が課題だ。
 さらに、経営規模の小さい地方金融機関の場合、導入コストの高さもネック。京都銀の場合、ATM改造など費用は数億円。ICカードの単価は1枚1000円とも言われ、磁気カード(同100円)に比べて高い。同銀は発行手数料を徴収するか無料にするか、まだ明らかにしていない。
 ◆被害補償の充実
 このような状況の下、信用金庫はICカード・生体認証ではなく、金融機関が保険料を負担しての被害補償の充実を柱にしている。京都信用金庫は3月9日から、補償対象に従来の盗難に偽造も加え、補償限度額を被害の90%、200万円(従来100万円)に引き上げた。また、従来制限のなかった出金など1日当たりのATM利用限度額を、1口座300万円までとした(利用者の希望で変更可能)。
 京都中央信用金庫も同様の措置を取る。被害補償は4月1日から、上限を100万円から200万円に増額。対象も従来の盗難に偽造を加える。また、4月11日から1日当たりATM利用限度を1口座200万円にする(変更可能)。
 京都信金広報部では「補償はまず警察への届け出が大前提だが、犯人が検挙されなくても通常生活の中で被害に遭った場合は積極対応したい」と話す。ただ、生体認証については「地域の他金融機関で統一的に使えなければ、利用者の利便性の点で問題がある」と慎重な姿勢だ。京都中央信金も生体認証は「費用対効果などを検討中」という段階にとどまっている。

3月11日朝刊
(毎日新聞) - 3月11日17時3分更新

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050311-00000155-mailo-l26