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名古屋市の無職男性(60)は昨年五月、ある業者の営業マンから電話で勧誘された。「ドルが高くなるから絶対にもうかりますよ」。保証金として約百万円を預けた。しばらくすると業者は「ドルが上がったからもっと買った方がいい」。さらに七十万円をつぎ込んだ。
ところがその後、ドルは下がる一方。保証金の担保価値が下がったため、次々と追徴金を求められ、気が付くと八百万円近くをつぎ込んでいた。
その後、弁護士を通じて損害賠償を求め、一部を返還してもらったが、それでも約百六十万円の損失だった。「システムはまったく分からず、すべて業者任せだった。それがいけなかった」。男性は振り返った。
外国為替証拠金取引は、少ない証拠金で十数倍もの高額の外国為替を売買できる仕組み。為替相場が予想に反して動いた場合、差し入れた証拠金を大きく上回る損失を受ける危険性がある。「必ずもうかる」「ドルで預けた方が金利が高いから、相場で損をしても大丈夫」といったセールストークや、電話や自宅への訪問で強引な勧誘が横行し、顧客が取引の終了を求めても業者が応じないケースも多いという。
昨年十二月、外国為替証拠金取引を初めて規制する改正金融先物取引法が成立。業者を登録制とし、登録要件を満たさない業者は取引できないようにしたほか、顧客への訪問や電話による勧誘(不招請勧誘)の禁止、知識や経験のない顧客は勧誘しない、などの内容が盛り込まれた。
電話によるセールストークで客を獲得してきた業者にとっては、存続不能に等しい厳しい規制だ。しかし、施行は七月一日。「最後のひと稼ぎ」とばかりに、トラブルは増える一方だ。
国民生活センターが集計した〇四年度の相談件数は二月十七日現在で二千八件。昨年度の千四百十二件を軽く上回り、最終的には四千件以上に達する見通しという。
金融消費者問題研究所代表の楠本くに代さんは「法の施行前の駆け込み営業は当初から予想されたこと。法施行後も、登録されなかった業者が“ヤミ”で動く可能性もある。監督官庁の金融庁は今から監視体制をつくっておくべきではないか」と訴える。
国民生活センターや金融庁は「七月まで行政の監督が及ばないので注意が必要」と強調。「執ような勧誘にあっても、きっぱり断り自宅への訪問を許さないようにしたり、安易に業者に資金を預けないようにすることが大切」と注意を呼び掛けている。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kur/20050310/ftu_____kur_____001.shtml