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債権者が土地や建物を担保にとったものの、占有している賃借人がいることで競売による債権回収がうまくいかないおそれが出てきた場合、占有が不法でなくても、「抵当権が侵害された」として賃借人を相手取り、明け渡しを求めることができるかどうか——そんな問題が争われた訴訟の上告審判決で、最高裁第一小法廷(泉徳治裁判長)は10日、「明け渡し請求はできる」との初判断を示した。
抵当権者にとっては、競売を申し立てて執行手続きに入る前に、占有者に明け渡しを求める道が開かれたことになり、債権回収のための強い武器を与えられたといえそうだ。
最高裁は99年、「抵当権者は不法占拠者に対し、不動産の所有者に代わって明け渡しを請求できる」との判断を示し、抵当権者にはそういった妨害排除の権限はないとした91年の最高裁判例を変更した。
今回の訴訟ではさらに、不法占拠者ではなく、正当な権限を持って不動産を占有している賃借人に対しても、抵当権者が直接、明け渡しや、さらには損害賠償も請求できるのかが焦点になっていた。
第一小法廷は「抵当不動産の所有者は、抵当不動産を適切に維持管理することが予定されており、抵当権の実行としての競売手続きを妨害するような占有権原を設定することは許されない」と判断。抵当権者の妨害排除請求権を認めた。一方で、賃料相当額の損害賠償請求については、「抵当権者は抵当不動産を自ら使えないのだから、使えないことによる損害賠償は認められない」と判断。二審判決のうち、賠償請求を認めた部分は破棄し、抵当権者の訴えを退けた。
二審・東京高裁は「賃貸借などで抵当不動産の占有者が替わったケースでは、(1)競売された不動産の買い受け希望者が占有の実態を見た場合、占有者とのトラブルを予想して買い受けを逡巡(しゅんじゅん)するような場合(2)占有の状況が、適正な価格よりも売却価格を下落させるおそれがある場合——には、抵当権が不法に侵害されている」と判断。明け渡しと損害賠償の請求を認めていた。(03/10 11:59)
http://www.asahi.com/national/update/0310/TKY200503100157.html