2005年03月03日(木) 17時46分
不動産担保金融:県内で急増、支援団体が注意・相談呼びかけ /熊本(毎日新聞)
◇我が家失う前に
家や土地などの不動産を担保に、消費者金融から数百万円単位の大口の融資を受ける「不動産担保金融」による生活破たんが、県内で急増している。最終的には持ち家まで失う借り主も多く、多重債務者の支援団体は注意を呼び掛けている。
県内に住む70代の女性は3〜4年前に、40歳前後の息子から、借金返済の肩代わりを持ちかけられた。女性が理由を尋ねても答えず、自分で返済をしようともしない。が、女性は子供かわいさに、つい肩代わりしてしまったという。女性夫婦は2人で月10万円程度の年金を受け取って静かに暮らしていたが、その年金のほとんどを息子の借金の返済に充てた。しかし、工面がつかなくなり、とうとう自分たちの生活のために消費者金融から借金を始めたという。
息子の借金は膨れ上がり、現在は約1500万円。返済のため、夫婦は最終的に、不動産を担保にする融資を受けることに決めた。自宅は任意売却する方針だが、たとえ自宅が売れたとしても、借金の完済には至らない。女性は今月、相談に訪れた「熊本クレ・サラ・日掛被害をなくす会」(熊本市)の相談員に「先祖代々受け継いできた家を手放さなければならない。悔しい」と話し唇をかんだ。同会は、この夫婦は自己破産する以外に道がないとしている。
不動産担保金融は、それ自体に違法性はなく、大手の消費者金融でも扱っている。同会は「借金を抱え返済見込みのない借り主に、大口の資金を貸し込む悪質な業者もいる。借り主は住む家も追われ、最終的には自己破産の道しかない」と指摘。「夜逃げや自殺にまで追い込まれることもあり、そうなる前に、支援団体などに相談をしてほしい」と話している。【石川淳一、本多由希子】
3月3日朝刊
(毎日新聞) - 3月3日17時46分更新
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