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欠陥住宅については、正確な知識が消費者や行政などに共有されず、被害を訴えても、施工業者やハウスメーカーに丸め込まれたり、たらい回しにされたりする事例が少なくない。東海地方のある地方都市に住むAさん(53)もそんな一人だ。
新築した自宅の欠陥に気づいたのは二〇〇〇年夏。完成直後から振動がひどく、建築士の調査で、はりなどの構造材が細く、柱や筋交いなどの連結部を補強する金具がないなど、耐久性、耐震性の面での重大な欠陥が見つかった。
工務店、設計者の対応は不誠実で、Aさんが裁判所に民事調停を申し立てたものの成立せず、建て替え費用などの支払いを求めて起こした訴訟では、地元で、専門知識を持ち、公正な立場で訴訟に協力してくれる一級建築士が見つからないまま時間だけが経過した。
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「裁判所では消費者の立場に立ってくれる人がだれもいなかった。二年間も地元でたらい回しにされた」とAさんは悔しがる。その後ようやく「NPO法人欠陥住宅をつくらない住宅設計者の会」(名古屋市)を知ったAさんは現在、同会建築士の支援を受け係争中だ。
欠陥住宅問題の背景には、いびつな業界構造がある。工務店などから仕事をもらう「代願」という下請的な建築士の横行で、本来の設計・監理ができない“もたれあい体質”や、量をこなしたいハウスメーカーなど大手が下請け任せで、監理が行き届きにくい状況など。また、施工会社の中にいる建築士が監理し、施工と監理が分離していないために消費者の側に立って対応してくれないケースも少なくない。
それだけに、解決方法に精通していないと、被害者は長期間かけても疲弊するだけという結果になりかねない。Aさんも「業者に任せきりにするから手抜き業者がはびこる。ほとんどのケースが泣き寝入りではないか。工務店の身内のような建築士は全く頼りにならなかった」と明かす。
他方、欠陥を防ぐために工事監理を徹底させようとしても、中立の立場で消費者の味方になってくれる優れた建築士を見つけるための情報は乏しいのが現実だ。
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こうした状況を受け、「住宅設計者の会」や「欠陥住宅被害愛知ネットワーク」を中心に結成するのが今回の連絡会。これまで別々に動きがちだった建築士と弁護士、消費者センターなどが連絡を取り合い、大学、施工会社などと情報交換や啓発をし合うことによって、予防と被害救済の両面で、消費者に正しい情報が伝わる環境づくりをするのが狙いだ。
同会では「欠陥が疑われるとき、欠陥住宅調査の経験のある建築士が予備調査で欠陥の有無や程度を判断し、裁判や示談など解決のための方向性を示してあげれば施主の助けになるはず」と説明する。
五日、名古屋市内で開く「住宅設計者の会」の総会で、連絡会への参加を広く呼び掛ける。建築士と弁護士の連携を一層強化するとともに▽各相談窓口への欠陥住宅の基礎講座▽大学や施工会社、工務店などへのセミナー▽欠陥住宅調査や第三者監理をできる建築士の養成▽消費者啓発−などを展開し、被害救済と予防の仕組みを広く社会に浸透させたい考えだ。
「住宅設計者の会」=電052(933)3106
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kur/20050303/ftu_____kur_____000.shtml