2005年02月24日(木) 19時33分
<内部告発判決>「正当な行為」と会社に慰謝料支払い命令(毎日新聞)
運輸業界のヤミカルテルを内部告発した報復で約30年間昇格がないなど不当な処遇を受けたとして、路線トラック大手「トナミ運輸」(本社・富山県高岡市)社員、串岡弘昭さん(58)が、同社を相手取り約5400万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が23日、富山地裁であった。永野圧彦裁判長は「原告の内部告発は公益性があり正当な行為。法的保護に値する」としたうえ、「処遇は内部告発の報復行為で違法」と訴えの一部を認め、同社に通常昇格していれば得られたはずの賃金や慰謝料など1356万円の支払いを命じた。
判決などによると、串岡さんは岐阜営業所の主任補だった74年、荷主が運送業者を変えられないヤミカルテル「荷主移動禁止条項」などを公取委に申告。告発を受けて公取委は業界を一斉立ち入り検査した。同社は75年、串岡さんを教育研修所(富山県)に転勤させ、主任補のまま異動を発令しなかった。
判決は「営業の一線で働いていた原告を補助的な雑務のみに長期的従事させた」と不利益を認定。また「原告が社内で(ヤミカルテル是正に)努力したとしても、会社が何らかの措置を講じた可能性は極めて低く、外部に告発したのは無理からぬ」と指摘した。
串岡さんは「これから内部告発しようとする人たちに勇気を与えた」と話し、訴訟代理人の山田博弁護士は「公益通報者保護法施行前でも(内部告発者が)救済されることを示した意義がある」と述べた。【藤原崇志】
▽トナミ運輸の話 判決は一部当社の言い分が認められているが、当社の考えと相いれない部分もあり、控訴を検討している。
(毎日新聞) - 2月24日19時33分更新
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