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【保護の範囲】
読者から次のような質問が寄せられた。「四月以降に保護されるのは定期預金で一千万円、普通預金一千万円の合計二千万円と思っていますが、間違いですか」
これは明らかな思い違い。金融機関が破たんした際に預金を保護する預金保険制度では、従来の「元本と利息の全額保護」から「元本一千万円とその利息の保護」に限定されるようになった。切り替え時期は定期預金が二〇〇二年四月、普通預金が今年四月。
今年三月までは普通預金は全額保護で定期預金も元本一千万円までとその利息は保護されるが、四月以降は保護される「一千万円とその利息」は定期預金と普通預金の合計額となる。
これに関連して「一つの銀行に複数の預金をしているときには、どの預金から『保護される一千万円』に計算していくのだろうか」という疑問も浮かぶ。
この優先順位は預金保険法で(1)借金の担保になっていない(2)満期が早い(3)金利が低い−などと決められている。普通預金は満期が設定されずにいつでも預金の引き出しができるので、定期預金に優先する。
例えば四月以降、一つの銀行に普通預金と定期預金を八百万円ずつ預けていたとすると、普通預金の元本八百万円とその利息は保護され、定期預金は元本二百万円とその利息だけが保護される。
ファイナンシャルプランナーらによると「金融機関破たんのとき、元本の一千万円以上を超える部分とその利息はまったく返ってこない」「同じ銀行のいくつかの支店に預金して、それぞれの支店に預け入れる金額を一千万円以内にすれば全額保護される」といった誤解をしている人も多い。
元本の一千万円以上の部分とその利息は「破たん金融機関の財産状況に応じてカット」が正解。預金の「一千万円以内」は一人の預金者の一つの金融機関への預け入れの金額のことで、支店を分散する対策は無意味だ。
【決済用預金】
四月以降も決済用預金は元本・利息の全額が保護される。この決済用預金について読者から「必要に応じ払い戻してもらえるでしょうか」という質問が届いた。
決済用預金は▽無利息▽いつでも払い戻しができる▽決済サービスに使える−の三条件を満たす預金。だから、質問の答えは「払い戻してもらえる」となる。
決済用預金には当座預金や、金融機関が最近になって扱い始めてきた「無利息型普通預金」も含まれる。この預金は金利がゼロということを除けば、ほぼ普通預金と同じ仕組み。「預金利息がなくてもいい」と覚悟すれば、これに何千万円預けても全額保護が保証してもらえるわけだ。
多くの銀行が現在、通常の普通預金の金利を年0・001%としている。一千万円の元本で年間の利息はわずか百円。超低金利の今なら、無利息型に切り替える抵抗感は小さい。
【名寄せ】
ペイオフが実際に実施されるケースは少ないとみられる。ペイオフ対策も(1)預金先の金融機関を分散して一つの金融機関への預金額を一千万円以内に抑える(2)破たんしそうにない金融機関を選ぶ−と簡単だ。(1)(2)だけで不安なときは決済用預金を活用することも可能。
こうした対策を取っていても、あるいは預金が何百万円しかなくても、預金先の金融機関に対してペイオフが実施された場合は若干の影響は免れない。一番気になるのは「保護される預金が払い戻せるようになるのはいつか」という点だ。
破たんの際は、金曜日の営業終了後に破たんが表面化し、翌週の月曜日朝から保護範囲内の預金の払い戻しが始まるというケースが多くなると予想される。
金融機関は預金保険機構に、預金者の名前、住所、生年月日などのデータを提出。それに基づいて預金保険機構が預金者それぞれの預金額を確定する名寄せ作業をする。名寄せ作業に時間がかかる場合は「一つの普通預金口座について六十万円まで」という条件の仮払金が出ることもある。
データが不備な預金者に対しては預金払い戻しが遅れると予想されるので、結婚で姓が変わったり引っ越しで住所が変わったりしたときなどには、金融機関に届けておくのが賢明だ。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kur/20050224/ftu_____kur_____000.shtml