2005年02月19日(土) 10時18分
明治安田生命 業務停止命令 生保全体への不信感増大も(毎日新聞)
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厳しい表情で記者会見に応じる明治安田生命の金子亮太郎社長=日銀クラブで18日午後、小林努写す |
金融庁が18日、明治安田生命保険の「生保レディー(営業職員)」に違法な営業活動があったなどとして、2週間程度の業務停止命令を出す方針を固めたことは、生保レディーの訪問販売を主力としている大手生保全体への不信感につながる可能性がある。
同社の金子亮太郎社長は同日会見し「契約者の信頼を損ねた」と謝罪し、社長も含めて厳正な社内処分を行う考えを示した。同社によると、客から「被保険者が死亡したのに保険金が支払われない」との苦情が殺到。昨年11月に内部調査した結果、同9月末までの約5年半に、保険金詐欺を指す「詐欺無効」との判断で保険金を支払わなかった213件の契約中、4分の3超の162件、保険金額で合計15億2200万円分が「契約者に詐欺の意思はなかった」として支払いを決めた。
中には、生保レディーによる契約段階での違法営業がもとで、無効と判断されたケースが61件も含まれていた。生命保険の契約者には、健康状態や病歴をありのまま伝える「告知義務」があるが、生保レディーが客の持病を知りながら会社に黙っていたり、正確な告知をしないよう勧めたり、面接せずに契約を結んだケースなどがあった。
生保各社の約款では、会社側は告知義務違反に気付いても契約から2年たてば解除できない。生保レディーはこの約款を「悪用」した可能性が高いが、一方で、商法上は5年間、告知義務違反を理由に保険金支払いを拒否できる。今回の問題はこの「二重基準」のはざまで起きており、ガバナンス(企業統治)の甘さが招いたと言えそうだ。
「問題が起きているのは販売が低迷していた時期に重なる」(生保関係者)と、販売ノルマ達成に追われた営業現場が「暴走」した可能性を指摘する声もある。
今年7月には保険商品の銀行での窓口販売が部分解禁される。政府は07年の全面解禁を目指しているが、生保側は「短期的な手数料収入を求める銀行が保険を売れば、契約者の利益に反する恐れがある」(大手)と窓販拡大に反対の姿勢を崩していない。だが、今回の問題は、そうした生保側の主張を根底から揺さぶりかねない。【竹島一登】
(毎日新聞) - 2月19日10時18分更新
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