2005年02月19日(土) 02時59分
明治安田生命、一部業務停止へ 「契約解除」でトラブル続出 攻勢の矢先、痛手(産経新聞)
金融庁が明治安田生命保険に対し、個人向けの契約募集を一定期間停止する行政処分を出す方向で検討していることが十八日、わかった。病歴を隠す「告知義務違反」を理由とする契約解除をめぐって、契約者とのトラブルが相次ぎ、不適切な契約募集も行うなど保険業法に違反する行為があった点を問題視しているとみられる。明治安田の経営への影響も避けられず、昨年誕生したばかりの巨大生保は早くも足元がすくわれた格好だ。(柿内公輔)
一部業務の停止処分があっても、保険金支払いなど契約募集以外の業務は通常通り行われる。期間は最大で二週間程度になる見通しで、全店を対象とする方針だ。
関係者によると、生命保険の契約者が健康状態を保険会社に知らせる「告知義務」を怠った場合には保険金の支払いを拒否できるが、加入から二年を超えると契約を解除できない約款がある。営業担当者は、この約款を説明して保険販売をしていたとみられる。
しかし、約款では加入から二年を超えても、重大な告知義務違反などがある場合は契約を無効にできるとも規定。これを根拠に本店では、保険金支払いを拒否するケースも多かったというが、本来は「商品性や募集状況などと総合的に勘案して判断する」(明治安田)はずになっていた。
明治安田の調査によると、平成十一年四月から十六年九月にかけて、契約から二年超で無効になったケースで、本来なら保険金を支払うべき事例が百六十二件もあったことが判明。そのうち、営業担当者が告知をすすめないなど募集行為に著しく問題のあったケースも六十一件あった。
明治安田の金子亮太郎社長は会見で「契約者のための判断が不十分だった」と、会社側の不手際を陳謝。「情報が経営トップに伝わる仕組みでなかった」とも述べ、自身を含めて社内処分を行う考えも明らかにした。
再発防止策として、査定支払い部門だけでなく、募集部門や監査部門と連携する横断的組織が決済を検討する制度に改革。弁護士などからなる諮問委員会も設ける。
ただ、金融庁が検討する個人向けの契約募集の業務停止処分は全店が対象。期間も二週間程度の厳しい内容とみられ、経営への影響は必至だ。
明治安田は昨年一月、旧明治生命と旧安田生命が合併して誕生。近年の生保業界で最大規模の再編と注目されたが、商品やシステムの統合など旧二社の融和に苦しんだ。「今年こそ攻めに転じる」(金子社長)としていた矢先の不祥事に、営業所など現場の職員にも動揺が広がっている。
(産経新聞) - 2月19日2時59分更新
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