2005年02月15日(火) 03時01分
国会職員19人、議員より高給 常任委専門員ら…給与体系、人勧の対象外(産経新聞)
国会職員計約四千人のうち十九人が、衆参国会議員の現在の年収二千七十七万円を上回る年収を得ていることが分かった。国会議員が経費節減で歳費の削減を進めているにもかかわらず、国会職員だけが独自の給与体系をよりどころに見直しを先送りしてきたためだ。特に年収二千万円前後の高給を受け取る常任委員会専門員が三十人も存在。給与の逆転現象やこれら幹部職員の高給への批判は国会議員らからも強く、今後、国会制度改革の見直し対象となりそうだ。
衆参両院事務局の人事課などによると、国会職員の中で最高給は国立国会図書館長の年収三千四十一万円(俸給月額、調整手当、ボーナスの総額=以下同じ)。
次いで、衆参事務総長(二人)=二千九百七十六万円▽両院法制局長(二人)=約二千九百万円▽国立国会図書館副館長=二千四百三十三万円▽衆参事務次長、衆参法制次長、衆院調査局長(計五人)=約二千四百万円▽常任委専門員、裁判官訴追委員会事務局長、裁判官弾劾裁判所事務局長(計八人)=約二千百万円の計十九人が国会議員の給与を上回る。
国会議員の歳費がこれら幹部職員より下回るのは、「民間企業がリストラを進める中、国会議員も身を切る姿勢を示す必要がある」(自民党国対幹部)とし、平成十五年四月から歳費を一律10%カットしたため。これが給与のねじれ現象の一因だ。国会法三五条は国会議員の歳費に関し、「一般職の国家公務員の最高の給料額より少なくない歳費を受ける」と規定、本来の基準年収を二千二百二十九万円としている。
一方、年収約千八百万−二千百万円と国会議員より多いか同程度の高給を受け取る常任委専門員が計三十人いる。
給与は「国会職員の給与等に関する規定」という独自の基準により、一般の国家公務員の給与水準の基準となる人事院勧告も対象外だ。
常任委専門員は、中央省庁の局長級に相当し衆参あわせて三十人。給与体系上1号給から4号給までのランクがあり、最高給の年収二千三百六十四万円が規定されている4号は現在ゼロ。年収約二千百万円の3号は六人。年収約千九百万円の2号は十一人、最低ランクの1号の十三人でも年収約千八百万円で、中央省庁の局長級(年収千八百五十三万−千九百九十九万円)に匹敵する。
常任委専門員は「専門性の高い実務上の知識・経験で議案の審査や議員立法、国政調査活動全般について提言、助言を行う」(衆院人事課)ことが職務。実際には、議員の委員会質問の作成や法案づくりに関する資料収集を日常業務とする。
ある中央省庁幹部は「国家公務員の適正給与の基準として、調整する相手の役職と同程度という目安がある。専門員は局長級の給与をもらっているが、調整相手は中央省庁のせいぜい課長クラス。局長級を相手に調整しているという話は聞いたことがない」と、高給ぶりを批判する。
これに対し、国会職員側は「専門員は各常任委員長や理事に政策面で提言するなど、役割は大きい。議員立法が多くなっている現在は特にそうだ」と反論している。
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常任委専門員 国会法43条は「常任委員会には、専門の知識を有する職員(専門員)および調査員を置くことができる」と規定。衆参両院に各15ある常任委員会に1人ずつ専門員がいる。各常任委員長の申し出により、議長の同意および議院運営委員会の承認を得て、事務総長が任命。各委員会所属の国会議員の立法、調査活動の助言・補佐が職務とされる。
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■主な国家公務員の年収
(月給+ボーナス+調整手当、単位・万円、一部概算)
内閣総理大臣4165
衆参議長3481※
国務大臣3041
国立国会図書館長3041
衆参事務総長2976
衆参法制局長2900
中央省庁事務次官2433
警視総監2295
中央省庁審議官2143
常任委専門員(3号給)2100
国会議員2077※
中央省庁局長1853−1999
常任委専門員(2号給)1900
同 (1号給)1800
※は平成17年3月までの時限措置として歳費の一部削減を踏まえた額。太字は国会職員
(産経新聞) - 2月15日3時1分更新
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050215-00000002-san-pol