2005年02月12日(土) 02時49分
「北」産のアサリ、不正表示多数 監視強める農水省(産経新聞)
北朝鮮産のアサリが、国産と表示されたり、原産国の表示がないまま販売されるなど、不適正なケースが多くあることが十一日、農林水産省の調査で分かった。業者の一部には、意図的に継続して偽装表示を繰り返している疑いがある。農水省は近く中間調査結果を公表する。「北」産のアサリをめぐっては拉致被害者と家族の支援組織「救う会」が不買運動を呼びかけており、農水省は最重点品目として調査を継続する方針だ。
農水省は小売店や卸売業者など数百店を対象に、流通ルートをたどって表示通りの実態かどうかを集中的に調査。その結果、不適正表示が多数判明した。
関係者によると、アサリは生育二年未満で消費されるが、北朝鮮産が一年程度たってから、国内の養殖場に移され、数カ月後に国産と表示されているケースがある。こうした場合、JAS(日本農林規格)法に基づき、生育期間が一日でも長い方を原産国として表示する義務がある。業者側にすれば、北朝鮮産と表示すると「国民感情から売りにくい」(農水省幹部)との思惑があるようだ。
また、中国経由の輸入で中国産と偽装されている疑いもあるが、第三国経由は農水省だけの調査では産地追跡は難しい。
農水省は通常の表示調査とは別に、二−三カ月間、その時期に関心の高い品目に特化して、三千店規模を調べる特別調査を実施している。アサリについては表向き、特別調査の品目に指定していないが、北朝鮮への経済制裁を求める声が強まっていることを背景に、島村宜伸農水相が一月中旬に表示適正化を指示。「事実上の特別調査態勢」(農水省幹部)を敷いている。
また、船主責任保険未加入の外国船の入港を禁止できる改正油濁損害賠償保障法の三月施行で、アサリを運ぶ北朝鮮貨物船も対象に含まれるため、第三国経由や密輸など偽装が巧妙化する懸念があり、農水省は監視態勢を強めている。
北朝鮮からのアサリの輸入量(平成十六年)は三万二千トン(四十億円)。国産の三万六千トンに近い数量で、北朝鮮産は輸入量の59%、国内消費量の35%を占める。
(産経新聞) - 2月12日2時49分更新
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