2005年02月09日(水) 12時16分
ヤミ金の梶山被告に懲役7年、51億円追徴認めず(読売新聞)
指定暴力団山口組旧五菱会系のヤミ金融グループによるマネー・ロンダリング(資金洗浄)事件で、組織犯罪処罰法違反(犯罪収益隠匿)と出資法違反(高金利)の罪に問われた同グループ最高責任者・梶山進被告(55)の判決が9日、東京地裁であった。
飯田喜信裁判長は、「国内外を舞台にした、過去に類を見ない大規模な資金洗浄だ」と述べ、求刑通り懲役7年、罰金3000万円を言い渡す一方、追徴金約51億670万円と米ドル札1億7900万円相当の没収は認めなかった。検察側は控訴する見通し。
判決は「被害者が損害賠償請求する可能性があり没収・追徴すべきではない」と述べた。飯田裁判長は、同グループ幹部2人の判決でも没収・追徴を認めなかった。これで、同グループが海外に隠した犯罪収益計約94億円の追徴と、国内で押収された米ドル札などのうち計約3億円相当の没収が退けられたことになる。
組織犯罪処罰法は、犯罪収益を幅広く没収・追徴できるとする一方、犯罪によって被害者から得られた収益を「犯罪被害財産」として、没収・追徴の対象から除外すると定めている。
検察側は「個々の被害者が特定されておらず、被害者が賠償請求する見込みは乏しい」としたうえで、「没収・追徴しなければ、犯人に利得を認めることになる」と主張し、隠された犯罪収益のほぼ全額を没収・追徴すべきだとした。
これに対し判決は「刑事手続きで被害者が特定されるかどうかは、捜査機関の裁量や捜査状況に左右されるため、犯罪被害財産と認めるかどうかの基準としては不合理」と指摘。全額を犯罪被害財産と認定した。
判決によると、梶山被告は、クレディ・スイス(CS)香港の元行員・道伝篤被告(42)らと共謀し、2003年2月、ヤミ金融による犯罪収益で購入した割引金融債を現金化し、CS香港の口座を経由して、スイスのCS本店に計51億670万円を隠すなどした。
(読売新聞) - 2月9日12時16分更新
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