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2005年02月07日(月) 03時05分

一部値上げのビール、出荷価格は下げていた読売新聞

 ビールメーカー大手数社が、1月からビール・発泡酒をオープン価格とし、取引量が多い卸売業者になるほど多額を支払ってきたリベート(販売奨励金)も廃止した際、卸売業者への出荷価格を引き下げ、新たに別のリベートを導入していたことが、6日明らかになった。

 全国の卸売業者に配布した内部資料を、読売新聞社が入手した。

 メーカー、卸売業者はこれまで、「リベート廃止で卸の仕入れ価格が上がる」として、小売業者に卸価格の引き上げを求め、既に一部では小売価格に転嫁する動きが出ているが、こうした説明は根拠を失うことになる。

 新たな取引制度は卸売業者保護につながるもので、メーカーや卸売業者に対する消費者からの批判が高まりそうだ。

 内部資料によると、ある大手は1月から、ビールの主力商品である350ミリ・リットル缶、500ミリ・リットル缶などの出荷価格を1ケース(24缶入り)あたり12円引き下げた。別の大手は、主力ビールの一部を1ケースあたり12円、発泡酒は同6円、それぞれ値下げした。

 また、取引量が多い卸売業者になるほど多額を支払っていた「応量リベート」を廃止する代わりに、メーカーの流通経費負担の軽減度に応じて資金を支払う「機能リベート」を導入した。

 内部資料は、卸売業者が「機能リベート」を満額取得した場合、「応量リベート」を廃止しても「現状より値下げとなります」と明記している。

 別の内部資料は「出荷価格の値下げは小売業者様へのさらなる値下げの原資ではありません」「出荷価格値下げ分は特約店(卸売業者)様の利益として蓄えていただけますようにお願いします」などと、卸価格の引き下げを露骨にけん制している。

 小売業者の間では年明け以降、卸側の要求を受け入れて、小売価格を5—10%(350ミリ・リットル缶1ケースでは200〜300円程度)引き上げる動きが出ている。

 だが、仕入れ量が多く、小売価格の主導権を持つといわれる大手スーパーのイオン、イトーヨーカ堂の2社は、卸価格引き上げを拒否したままだ。

 同意した他のスーパーなどでも、小売価格は据え置いている所が多い。

 あるメーカー担当者は「新取引制度は、行き過ぎた価格競争の是正が目的。卸も小売りも利益が出ない状態で、物流や品ぞろえに投資できない状態だ。消費者に喜んでもらえる売り場作りのためと理解してもらうしかない」としているが、今後、いったんは値上げに応じた小売業者が、卸に撤回を迫る動きも予想される。

 ◆機能リベート=取引量が多いほど金額が増える「応量リベート」に対し、出荷作業の効率化への貢献度が高いほど額が増える。

 「機能強化協力金」などメーカーによって名称はさまざまで、一般には公開しない。ある大手メーカーの場合、効率の良い大型車で商品を引き取りに来る率に応じ、こん包単位あたり3—6円出したり、メーカー指定の受発注システムによる注文の多さに応じ、注文額の0・02—0・15%を還元したりと、幅広い項目にリベートを設定している。
(読売新聞) - 2月7日3時5分更新

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050207-00000001-yom-bus_all