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■拡大調査で判明
一連のリコール隠し問題で昨年五月以降、既に四十二件をリコール済みで、リコール隠し・放置は合わせて七十九件、実数で九十万台以上という空前の規模になった。
今回判明した最も危険な欠陥は、大型トラックのプロペラシャフトユニバーサルジョイントという部品の破損。問題になったクラッチハウジングの欠陥同様、動力を伝えるプロペラシャフト(約四十キロ)が脱落したり、制動不良や車両火災の恐れがある。
この欠陥で、大型トラックが信号待ちの車両四台に追突するなど、八七−〇四年に人身事故一件、物損事故三件、車両火災一件を含む四十四件の不具合が起きていた。
路線バスの欠陥は、燃料パイプの亀裂による燃料やエア漏れなど計八件で、対象は計約六千七百台。神奈川県内で園児送迎バスのブレーキが利かず物損事故を起こしたケースなど、昨年六月段階でリコール不要と判断したものの、今回リコールする案件が二十件あった。
当時リコールしなかったことに、同社は「判断が甘かった」としている。
リコールする三十七件による人身事故は二件で物損事故は十四件、車両火災は四件。これで一連のリコール隠し・放置に絡む人身事故は計三十五件、物損事故五十五件、車両火災九十四件に。
また、「ヤミ改修」が新たに百十一件も判明。これまでの分と合わせ、ヤミ改修は八三年以降、百八十三件になった。
危険性の高いプロペラシャフトユニバーサルジョイントの不具合情報文書が本社に残っていないなど、欠陥部品が今回までリコールされなかった経緯について、同社は今後も社内調査する。
一方、海外約七十カ国・地域でクラッチハウジングなど六種の部品で計十六件の不具合が起きていたことも拡大調査で分かったが、事故や火災は起きていないという。
■解説
三菱ふそうトラック・バスの拡大調査は、一九七一年以降の欠陥・不具合のほぼ全容を明らかにした。欠陥の洗い出しに一区切りがついたといえる。しかし、最も危険な欠陥とされたクラッチハウジング同様、プロペラシャフトの脱落や火災などを起こすプロペラシャフトユニバーサルジョイントという部品の欠陥が浮上した。
この部品は、昨年五月のクラッチハウジングの欠陥発覚後も二件の不具合が起きていた。同社の新型車の販売を認めたばかりの国土交通省幹部は二日までこの欠陥を知らされておらず、「事前に報告すべき重大な欠陥」と、同社の姿勢に不快感を示す。
同社の社内調査は積極的とは言い難い。クラッチハウジングのリコールを届けた時、不具合件数を六十七件と報告したが、販売店に発送したスペア部品の追跡で、新たに約二百件の不具合が判明。そのスペア部品の調査も国交省の指示だった。
リコール逃れの「ヤミ改修」への実態調査も消極的だった。販売店から費用を請求される「クレーム申請」件数で、ヤミ改修件数が分かるはず、と指摘した本紙報道を受け、国交省が同社にクレーム申請の報告を求め、クラッチハウジングのヤミ改修が九六年以降、百八十個と判明。本来昨年五月の問題発覚時点で掌握できた数だが、同社は求められるまで報告していない。海外での不具合調査も当初は否定的だった。報道陣の追及や国交省の要請で海外調査に転じたものの、二日の調査結果は昨秋の中間報告と大差ない。
過去の欠陥の洗い出しが終わり、欠陥隠しの経緯などの社内調査に焦点が移る。三月にも原因調査結果を公表する見通しで、社内処分も行われる。国交省幹部は「本当に会社が生まれ変わったのなら、すべての経過が明らかになるはず」と期待する。「原因解明調査」は信用回復の最後のチャンスになる。 (西岡聖雄)
http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20050203/mng_____sya_____010.shtml