悪のニュース記事

悪のニュース記事では、消費者問題、宗教問題、ネット事件に関する記事を収集しています。関連するニュースを見つけた方は、登録してください。

また、記事に対するコメントや追加情報を投稿することが出来ます。

記事登録
2005年02月03日(木) 00時00分

カード不正使用犯罪 金融機関選びで自己防衛 東京新聞

 偽造キャッシュカードで多額の現金を引き出した窃盗団が先月十九日に逮捕され、二十五日には全国銀行協会が偽造カードの対策を発表。預金者が他人にキャッシュカードを不正使用されて預金を取られてしまう問題がクローズアップされてきた。被害に遭わないために預金者は何ができるか、被害者らの証言も参考に考えてみた。 (白井 康彦)

 カードの盗難・偽造による預金不正引き出しの被害者でつくる「ひまわり草の会」の会員十人が二十九日、東京・銀座の数寄屋橋公園で、被害者への完全な補償と被害防止策の確立を求める署名集めをした。

 会員らは数百万円から三千万円もの預金を取られて、補償金は得ていない。寒空の下、二時間以上も通行人に声をかけ続けたのは「銀行の対応がどうしても納得できない」と思っているからだ。「補償の話はあしらい、警察への捜査協力も不熱心。被害者を泣き寝入りさせようとする姿勢がありありだった」と口をそろえる。

 全銀協の発表では、偽造カード被害者への補償について「規定や法に照らした真摯(しんし)な対応をする」としているだけで、現実に補償されるのかどうかは不透明。全銀協はそもそも「偽造カード対策」としており、カード盗難の被害者は“カヤの外”に置かれたと感じている。

 米国では、カードの盗難や偽造で預金を不正に引き出された場合は、被害者が負う損害の最高額は五十ドル(約五千百円)とされている。欧州にも同様な預金者保護ルールがある。すんなり補償されることが少ない日本の現状とは大違いだ。カード保有者は、これを肝に銘じる必要がある。

 銀行が預金者に盛んに呼びかけてきたのが、カードの暗証番号の管理だ。何者かがカードを盗難しても暗証番号が割り出せなければ、ATMから現金を引き出せない。だから銀行は「生年月日や自宅の電話番号など類推しやすい暗証番号にはしないで」と強調する。

 銀行員や警察官をかたったり、パソコンのメールなどで暗証番号を聞き出そうとする犯罪者もいるので、こうした詐欺行為にひっかからない心がけも必要だ。ATMで暗証番号を画面に打つときに、周囲の人からのぞき見をされないようにすることも大事だ。

 これだけでは、まだ安心できない。

 同会会員で首都圏に住む大学助手の女性は昨年夏、駅のホームから電車に乗ろうとしたとき、外国人スリ集団にカードが入った財布を盗まれた。次の駅で電車を降り預金先の三銀行に電話したが、そのとき既にATMから合計約四百万円の現金が引き出されていた。この間わずか約五分。

 女性は元銀行員。「類推困難な暗証番号にしています。ATM画面に暗証番号を打ち込むときも周囲に見られない姿勢を取っています。犯人らが暗証番号をどう割り出したか、まったく分かりません」と話す。

 不正使用の技術は年々向上しており、それに応じた対策も必要なのだ。

 古いカードの中には暗証番号の解読が容易なものもある。だから、使わなくなった古いカードは盗まれても大丈夫なように切り刻んで処分することが大事。カードの磁気情報読み取り(スキミング)をされるといけないので、カードを他人に預けるのは厳禁だ。

 銀行にいくつか預金口座を開設している場合は、カードで現金をおろせる普通預金口座を一つか二つにし、その口座の預金残高を少なくしておく対策も有効。

 注意したいのは、普通預金残高がゼロになっても定期預金を担保にした借金の形で現金が引き出される契約が多いこと。定期預金の残高が多いと多額の現金引き出し被害に遭いかねないので、こうした契約をしないという選択肢もある。

 全銀協の対策には、一部の金融機関が先に実施している項目もある。そうした金融機関を選ぶことも有力な対策だ。

 集積回路(IC)チップが埋め込まれて偽造しにくいICカードや、預金者の身体情報を使ってATMで本人確認をする生体認証システムは、大手銀行が導入を始めた段階。

 被害額を抑えようとカードで引き出せる一日あたりの限度額を預金者に任意に設定させてくれる銀行もあり、千葉銀行(本店千葉市)や大垣共立銀行(同岐阜県大垣市)などが先行している。

 カードの盗難・偽造による被害を盗難保険に加入して補償する方式は、郵便局や農協、北國銀行(同金沢市)や岐阜銀行(同岐阜市、偽造は対象外)などが導入済みだ。

■キャッシュカードの不正使用対策

●暗証番号
生年月日、電話番号など類推しやすい番号にしない
ATMでカードを使う際にのぞき見に気を付ける

●管理情報漏れの対策
暗証番号を聞き出そうとする詐欺行為に注意
ATMの利用明細などをうかつに捨てない
古いカードははさみで切り刻んで処分
カードは厳重に管理し、他人に預けない
カードで引き出せる預金口座の残高を少なくする
カードをむやみに作らない

●より安全な金融機関の選び方
ICカードを導入している
ATMで生体認証をしている
ATMの利用限度額を任意設定できる
盗難保険付きの預金を扱っている
ATMにのぞき見防止装置を付けている


http://www.tokyo-np.co.jp/00/kur/20050203/ftu_____kur_____001.shtml