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「泣き」と親近感が重要——。組織的に振り込め詐欺を繰り返していたとして警視庁などに摘発された集団が、架空の交通事故による「劇団型オレオレ詐欺」の手口マニュアルを作り、だましのポイントを記していたことが、押収資料からわかった。「子どもの不祥事を表ざたにしたくない」との親心を巧みに突いていた。
マニュアルはA4判4枚に印字されていた。「情状酌量」など一部の漢字には手書きでルビが振られており、同庁などは集団が実際に使ったとみている。
《泣きの信用(本人だと思わせる)で決まる。ここは必死にやる》
だます相手の「子ども役」へのアドバイスだ。続いて登場する「警察官役」は実刑をちらつかせつつ保釈を示唆。引き継いだ「弁護士役」には「弁護士の言い回しで落ちるか落ちないか決まる」とあり、次のような注意を促していた。
《「親近感」が重要!!「私はお母さんの味方です」みたいな感じがベスト!》
締めは「マスコミ役」。集団はいったん電話を切った後に、事故の取材を装って電話をかけ直し、表ざたにして欲しくないとの親の思いを突く。弁護士役はあらかじめ、事故のことは口外するなと言い含めており、事故について「親がとぼければ(成功は)堅い」と判断、「早く銀行に行かせる詰めが大切」としていた。
《相手の地理、会社名などを明確に答えられれば、信憑(しんぴょう)性が全然違う。出来るだけ詳しく説明する》
話を信用させるために情報を集め、会話に盛り込んだ形跡もあった。実際に、東北から九州までの道路地図10冊近くが見つかった。捜査幹部は、うその事故をもっともらしく伝えるのに使ったようだ、と言う。
詐欺の発覚を防ぐための注意書きもあった。
弁護士役への注意として、「硬いトーク」を禁じ、被害者に親近感を持たせないと、「他人に相談してしまう可能性がある」としていた。
《電話は出なくて当たり前。ばれて当たり前》
こうした「役者」たちを鼓舞する言葉もあった。
マニュアルは使い古され、所々にはマーカーで印がつけられていた、という。
(02/02 00:20)