2005年02月01日(火) 13時46分
IC化にコストの壁 UFJ銀行など偽造カード対策(中日新聞)
【愛知県】偽造・盗難キャッシュカードによる現金自動預払機(ATM)からの現金引き出し被害が深刻化する中、UFJ銀行と東海三県(愛知、岐阜、三重)の地銀九行が対策に乗り出した。ただ、偽造が難しい集積回路(IC)チップ内蔵のカードや、本人確認のため指紋照合などを使う生体認証の仕組みは、整備コストや利便性が課題で、地銀での導入はめどが立っていない。
各行が取り組み始めたのは、ATMの一日当たり支払限度額を、預金者が自由に設定できるサービス。限度額を少額にすれば、仮にカードを偽造されても、引き出し被害を最小限に食い止められるとの考えだ。
大垣共立銀行が昨年四月に全国で初めて導入。三重銀行も昨年八月に開始、十六銀行は二月十四日、岐阜銀行は三月中旬、百五銀行も四月四日から相次いで取り扱いを始める。他行も「早期導入へ検討を急いでいる」(愛知銀行)という。
利用申し込みは、大垣共立銀で昨年末までに、約百万口座のうち千件程度。三重銀は昨年八月から十二月まで約百件だったが、一月は五十件を超えた。ゴルフ場を舞台にしたスキミング事件報道などを受け「利用者の関心が高まっている。申し込みは今後も増える」とみている。
UFJ銀行は二〇〇二年五月にICカードを導入。従来の磁気データも付いているが、昨年十一月末から磁気データを使う場合の引き出し限度額を預金者が設定できるサービスを始めた。限度額ゼロ円にすれば、IC対応のATM以外では使えない。同行のATMは約六千三百台で、約三千台がIC対応という。
一方、地銀はICカードなどの検討を始めたばかり。ある地銀幹部は「ICカードの導入コストは、カード一枚が従来の二十倍、発行機は一億円程度かかる。ATM対応も一台八十万円、さらにシステム改修に数千万円必要」とコスト高に頭を抱える。
別の地銀幹部も「新札対応でATMを更新したばかり。国からIC対応を求められれば赤字覚悟でやるが、難しい」と歯切れは悪い。
利便性でも課題がある。現在はATMで他行カードも使用できるが、ICカードや生体認証の仕組みを導入すれば困難になる。
名古屋市内の地銀幹部は「預金者が利用できるATMが限定される。磁気データのカードとの併用も考えないといけない」と話している。
(中日新聞) - 2月1日13時46分更新
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