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2005年01月31日(月) 00時00分

ハンセン病 治療ミス認め元患者勝訴 国に5000万円支払い命令 東京新聞

 国立ハンセン病療養所「多磨全生園」(東京都東村山市)に入所していた元患者の女性(66)が、「投薬ミスで症状が悪化し重い後遺症が残った」として、国に五千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が三十一日、東京地裁であった。佐藤陽一裁判長は「担当医はハンセン病治療を放棄したのに等しい」と述べ、国の使用者責任を認め、請求通り五千万円の支払いを命じた。 

 国の隔離政策の責任が問われたハンセン病国賠訴訟は、二〇〇一年に元患者側が全面勝訴した熊本地裁判決が確定しているが、療養所での医療ミスを認めたのは初めて。

 国側は賠償請求の時効を主張したが、佐藤裁判長は「提訴の遅れはハンセン病診療を国が独占していたことが原因で、時効を主張するのは権利乱用に当たる」と退けた。

 判決理由で、佐藤裁判長は「医師は早期に菌検査を行って病気の再発を確かめる義務を怠り、適切な投薬をしなかった」と医師の過失を認定。

 さらに「一九八〇年代初めに世界保健機関(WHO)が、治療薬の多剤併用療法の実施を提唱していたのに、一種類の単剤治療を続けたのは合理性がない」と批判した。

 判決はまた、「らい予防法が国立療養所にハンセン病の診療活動を独占させた結果、外部からの批判にさらされる機会が失われた」と述べ、国の隔離政策を批判した。

 佐藤裁判長は元患者の被害額を七千六百四十七万円と算定、請求全額の賠償を命じた。

 判決によると、女性は十五歳でハンセン病と診断され、鹿児島や静岡の療養所で治療し、いったん症状は治まった。その後、経過観察などで多磨全生園に通院中の八六年に再発。四年後には頭髪が抜けるなどしたため、同園に入院した。

 担当医は効果の薄い単剤治療を続け、症状は悪化。九二年に担当医が代わり、多剤併用療法により回復、九七年に退所したが、手足の神経まひなど重い後遺症が残った。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20050131/eve_____sya_____004.shtml