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■親子関係
「三菱自動車を見捨てるなんて、全く考えていない」
三菱自の会長兼務が決まり、この日夕、都内で記者会見に臨んだ三菱重工業の西岡喬会長は記者団の質問に思わず声のトーンを上げた。
三菱自はもともと三菱重工業の自動車製造部門。一九七〇年に重工の全額出資で分離し、二〇〇〇年に独ダイムラークライスラーが資本参加した段階で、持ち分法適用会社の対象から外した。しかし、長引く経営不振から、旧親会社の三菱重工が現職会長を首脳陣に据え、再び持ち分法適用会社に戻る。
西岡会長は「生み出した製品には最後まで責任を持つ。それは会社も同じだ。重工が生み出した三菱自を愛情を持って伸ばしていかなくてはいけない。本当にだめになるなら、最後は重工がきっちりしないといけない」と、両社を“親子関係”にたとえ、三菱グループの結束力を強調した。
ただ、重工が三菱自を七〇年に手放したのは一般消費者相手の大量生産は難しいとの判断からだ。重工のノウハウがどこまで自動車メーカーで生かせるかは未知数だ。
■切り売り
クレディスイスファーストボストン証券の遠藤功治アナリスト(自動車担当)は、「今回の再建策にはそれほどのインパクトはない。これまで何度も計画の実現に失敗し、今回もうまくいくのか」と懐疑的だ。
今回の再建策には盛り込まれなかったものの、水島製作所(岡山県倉敷市)の軽自動車部門を切り離し、日産との共同出資会社に譲渡する案が浮上している。日産自動車のカルロス・ゴーン社長は、これまでの記者会見で軽自動車事業の拡大に強い関心を示し、「日産にとって三菱自を活用することはある。ぜひやりたい」と共同出資会社に前向きだ。
この日、三菱自の新社長に就任したばかりの益子修氏は「その可能性は消えていない。両方にメリットがあれば前向きに取り組む」と意欲を示した。西岡会長も「私は反対していない」と述べ、三菱自の部門の中でも比較的落ち込みの少ない軽自動車事業が切り離される可能性が高まっている。
ただ、事業の切り売りには懸念も強い。軽ばかりか海外事業まで手放す事態となれば、経営が立ちゆかない小規模メーカーに陥る危機もあり得る。アナリストの遠藤氏は「重工の自動車部門に戻るのが、グループ三社にも雇用のためにも良いのではないか」と指摘する。
こうした声に対し、益子社長は「前首脳陣の尽力で、経営環境は大きく変わった。再生はできる。自信と確信があり、もう新たな支援を求めることはない」と強調した。計画はアジア地域での成長を軸につくられ、国内事業は三年後の二〇〇八年三月期時点でも赤字が予想される。完全復活が描けない計画が、どこまで実行できるかは依然として不透明だ。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kakushin/20050129/mng_____kakushin000.shtml