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2005年01月26日(水) 00時00分

カード偽造対応格差も  全銀協が対策発表 東京新聞

 全国銀行協会(全銀協、会長・西川善文三井住友銀行頭取)は二十五日、「保険付き預金」や利用限度額の引き下げなどを柱にした偽造キャッシュカードによる預金引き出し事件の対策を発表した。しかし、対策には多額の経費がかかり、地方銀行など経営体力の弱い金融機関と大手行の間で、格差がつく可能性もある。

 対策の多くは大手行を中心に一部で導入済み。「保険付き預金」は、東京三菱銀行が昨年十月から、手のひらの静脈で本人確認する生体認証(バイオメトリクス)を取り入れたICキャッシュカードで実現。生体認証登録者に限り、一億円まで補償。年会費は一万五百円と高いが、近く補償限度額が一千万円または百万円で、年会費を引き下げた廉価版を発表する。

 一日あたりの引き出し限度額を任意設定できるシステムは三井住友銀行が導入済みで、UFJ銀行もICカードの登録者を対象に実施。みずほ銀行も普通預金のICカード化後、今年上半期に導入の予定だ。

 記者会見で西川会長は「業界として一定の基準を示した。結束して対応する」と、さらに対策を検討する意向を示した。

■被害者への補償 『真摯な対応』求める

 全銀協は二十五日に打ち出した偽造キャッシュカード対策で、焦点となっていた被害者への補償には各銀行に対し「(現在の)規定や法に照らした真摯(しんし)な対応」を求めた。西川会長は二月に金融庁の方針が固まった上で、キャッシュカードの補償規約を見直す可能性にも触れた。しかし、欧米のような被害を補償する業界全体の制度づくりには消極的な姿勢を示した。 (川上義則)

 全銀協のカード規約のひな型によると、被害にあった預金者が自分に落ち度がないことを証明しないと、銀行に補償責任が発生しない。現在のキャッシュカードは暗証番号が分からなければ、預金は引き出せないため、預金者が暗証番号をしっかり管理していたかどうかで、銀行と訴訟になるケースもある。

 預金引き出し事件の警察への被害届は、全銀協の申し合わせで銀行側が提出する。しかし、事件かどうかはっきりしない場合もあり、被害があっても預金者が「泣き寝入り」することもあったとされる。

 今月、警視庁などがキャッシュカードの偽造グループを全国で初めて摘発。西川会長は「現在の規定でも被害補償するケースはあるが、事件の手口がはっきりした場合は事情を聴いて、真摯に対応する必要がある」と指摘。犯罪の時効が成立前ならば、過去のケースでも補償に応じる可能性があるという。

 一方、欧米では被害にあった預金者が一定額を負担し、残りは金融機関が補償する制度を導入している国が多い。

 しかし、西川会長は「小切手やクレジットカードの決済が主流の欧米と違い、現金決済が中心の日本では引き出す金額が多く、欧米の制度を導入するには無理がある」と主張。被害が拡大しないように「カードの安全性向上や、保険付き預金の開発などに取り組む」と強調した。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/kei/20050126/mng_____kei_____003.shtml