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東京都内に拠点を置き、傘下に複数のグループを従えて組織的に「振り込め詐欺」を繰り返していたとして、警視庁と大分、山口両県警の合同捜査本部は26日、詐欺などの疑いで、幹部の無職、江花信治容疑者(31)=埼玉県川口市元郷2丁目=ら18歳の少年を含む14人を逮捕した。末端のグループが稼いだ資金は上部組織を通じて最終的に、この詐欺集団の統括役に集約される仕組みになっており、被害額は年間数十億円にのぼるとみられる。振り込め詐欺の被害が深刻化するなかで、大規模組織の摘発は初めて。
違法に得た金の一部は暴力団に上納されていた疑いがあり、合同捜査本部は同日、文京区の住吉会系暴力団事務所や埼玉県戸田市の活動拠点など約15カ所を家宅捜索。活動拠点などから1000万円近い現金や約60台のプリペイド式携帯電話などを押収した。この集団の統括役とされる30代の男や暴力団関係者ら数人の逮捕状を取っており、行方を追っている。
調べでは、江花容疑者らは昨年5月、沖縄県城辺町の女性(51)に電話をかけ「息子が借金を返していない。金を振り込まなければ売り飛ばす」などと言い、現金120万円をだまし取った疑い。このほか、「融資をするから保証金を支払え」と言って金をだまし取る「融資保証金詐欺」などの手口で、茨城県つくば市の女性(52)や沖縄県石川市の男性(43)ら3人から計約1300万円をだまし取った疑い。
これまでの調べによると、集団を統括していたとされる男は内部で「社長」と呼ばれ、その下に「BB」や「JJ」などの名称のグループが10ほどあり、それぞれに「グループ長」がいた。江花容疑者は「JJ」グループ長だった。グループは、「店長」が率いる10人弱の「店」と呼ばれる小集団が10前後集まって構成されており、「社長」をトップにしたピラミッド型になっていたという。
調べや関係者の話によると、「社長」はそれぞれの「グループ長」に、月に1000万円のノルマを課していた。違法に得た収益の大半は「グループ長」を通じて「社長」のもとに集まっており、その額は月に20億円に達した時もあったという。
グループを構成する「店」の中には、暴走族のOBが現役の暴走族の少年たちを集めて組織したものなどがあった。こうした「店」の大半は03年ごろから東京・池袋や板橋などのマンションやアパートの一室に拠点を構え、振り込め詐欺を繰り返していたとみられる。
警察庁のまとめでは、振り込め詐欺は昨年1〜11月に全国で約1万8000件起きており、被害総額は約252億円。被害金の9割は首都圏で引き出されており、犯罪集団の拠点が集中している実態が浮かび上がっている。
(01/26 21:42)