2005年01月24日(月) 15時32分
ココログ新年会で「ココログブックスコンテスト」受賞作品が発表(impress Watch)
写真:インプレス
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1月22日、@niftyのブログサービス「ココログ」のユーザーが集う交流イベント「ココログ新年会」が都内で開催された。イベントでは書籍として出版する優秀ブログを決める「ココログブックスコンテスト」の結果も発表され、フクダカヨ氏による「フクダカヨ絵日記」が選ばれた。
ココログブックスコンテストは、最優秀賞となる「ココログブックス賞」の受賞者を1名選定し、その作品を書籍として出版する企画。2004年9月から11月にかけて自薦・他薦を問わずに募集が行なわれ、審査を経て12月にノミネート10作品が発表されていた。
審査員は「カフェグローブ・ドット・コム」編集長の青木陽子氏、ワックマガジンズ常務取締役で月刊誌「WiLL」編集長の花田紀凱氏、アスキー取締役COOの福岡俊弘氏と、いずれもプロの編集者が担当した。
■ 「ブログはプロバイダーの壁すら越える」とニフティ社長古河氏
新年会兼表彰パーティーでは、冒頭でニフティ代表取締役社長の古河建純が登壇。「2004年12月には、おかげさまでココログが1周年を迎えた。私もココログを利用しているが、たくさんの励ましやお叱りを頂いてる」と感謝の言葉を表わした。
さらに「ココログ、ブログは実に思わぬ展開を見せる」とコメント。現在@niftyと、はてなダイアリー共同展開中のブログプロモーションに、So-netも参加表明をしていた時期があったという。これはSo-net blogの開発チームブログが発端だったが、最終的に実現はできなかったとのこと。
しかし、その後もSo-net blogを使う野球選手の古田敦也氏による「(ココログにある)真鍋かをりさんのブログを超えたい」旨の発言で、2人の間でトラックバックによるコミュニケーションが図られるなど、「ブログはプロバイダーの壁すら越えてしまう」と古河氏は感慨深げに話した。
またパーティに集まった参加者には、「本日は様々な企画があるので、是非楽しんで欲しい」とメッセージを寄せ、乾杯の音頭も務めた。
■ 審査員各賞など計5ブログが受賞
乾杯に続いて、ココログブックスコンテスト受賞作の発表と表彰が行なわれた。受賞作は計5作品。審査員賞3作品が先に発表され、福岡俊弘賞に「everynight」、花田紀凱賞に「全日本ストレス解消委員会・日本支部」、青木陽子賞として「暗いニュースリンク」がそれぞれ選ばれた。そのほか、ノミネート10作品の中でもっともコメント・トラックバックを集めた「のほほん*」に、読者賞が贈られた。
会場に姿を現わしたのは「everynight」運営のtetsuちゃん氏。表彰状・副賞を受け取ったあとには「最初は私の自己満足で始めたサイト」「今後はより多くの方に星空への興味を持ってもらえるように頑張りたい」との挨拶も行なった。なお、残る3氏は、会場まで遠方であるといった諸事情を理由に、表彰式には参加されなかった。
そしてココログブックス賞には、フクダカヨ氏による「フクダカヨ絵日記」が輝いた。同氏が高校生の頃から嗜んでいるという「絵日記」がテーマのブログで、色鉛筆画のイラストを多数公開する。このブログは後日、インフォバーンより書籍して実際に販売される予定だ。フクダカヨ氏は「本になったなら、寝そべりながら、コーヒーを本にこぼしたり、みかんの汁をつけたりしながら、読んで欲しい」とユーモアたっぷりに喜びのコメントを語った。
ココログブックスコンテストの受賞作品
審査の総評は青木氏が担当。「点数制の規則の下に審査したが、審査中に内容が変化していく事もあってかなり悩んだ。面白いブログも大変多く、編集者としてはかなり脅威に感じた。今はユーザーみんながライバルです」と語った。
また、ブログ運営のアドバイスとして、同氏が日頃念頭に置いている編集方針も披露。「読む人にとって価値があるのかどうか。どんなニッチな話題でもいいので、人の役に立つ話題を意識し、ページ訪問者に『必ず何かをお持ち帰りいただこう』という事を意識する」「Webでは、一流ではなく1.5流を目指そう。一流のものを単に真似するだけでなく、聞いたものより、自分で見たものを優先したり……。ちょっと怪しげな話題も取り上げたっていいのでは」と話す一方、「今年こそは自分でもブログを始めたい」との気持ちも語った。
■ 室井佑月、吉井怜、花田紀凱によるトークショー
表彰式の後は休憩を挟み、ゲスト3名を招いてのトークショーが開催された。作家の室井佑月とタレントの吉井怜はココログを利用する立場として、そしてコンテンツ審査員も務めた花田紀凱氏がブログを使っていない側として、おもに話題を交わした。
室井佑月がブログの利点として真っ先に挙げたのが、読んだ人の感想がすぐにわかる事。「もちろん郵便によるファンレターなどでも感想は受け取れるが、編集部経由だとある程度集まってから作者の元に送られるので、ヘタをすると発売後1年経ってから感想を読むなんて事も」と明かす。
その感想に勇気づけられる事も多いらしく、「夜中に一人でトラックバックを読んでると『もう少し生きてみようかな』なんて気にもなったり」と、なんとも自虐的なコメントで観客の爆笑を誘っていた。
吉井怜も感想が届く早さに魅力を感じる一方で、反応の多彩さも嬉しいという。「『お母さん、今日こんな事があったよ』的な話題でも、色んな人の目に触れる事でいろいろな反応がもらえる」と声を弾ませる。また、ちょっとした言葉遣いの間違いを訂正してもらったりと、勉強になる事も多いという。
■ 「書いた作品は読んでもらうことが大事」と花田氏
花田氏は、仕事上の理由などからブログの開設を勧められているが、多忙さ故に踏ん切りがつかない状態という。ただ「今回の審査を行なって様々なブログを読んだが、実にさまざまな才能があると思った。編集者は(才能豊かな新人の発掘を)サボっている」と、ブログ全般の質の高さに唸っていた。
また花田氏の発言で興味深かったのは、花田紀凱賞の選考理由だ。それはズバリ「(文章が)短かったから」。一瞬会場からは笑いが起こったが「『寸鉄人を刺す』ではないけど、短い言葉でも人の心は打てる。『切れば切るほど言葉は良くなる』とも言う」と補足し、文章の長さだけが良いブログの条件ではないと説明する。
その一例として花田氏は、パソコンで原稿執筆を始めた作家が手書きに戻したというケースを挙げた。理由は「手書きだと疲れるため、どうしても文字を書きたくなくなってしまう。だから文章をよく練って、それから初めて筆を動かすようになるから」だという。
花田氏は続けて、「作家やエッセイストを目指す人にいつも言う事は、書いた作品を誰にでもいいから読んでもらう事。両親でも構わない。なぜなら、そうすれば『面白かったね』でも『長いね』でも『字が間違ってるね』なり、なにかしらの感想を得られるからだ」と指摘。この過程を花田氏は重要視しており、「ブログはトラックバックをはじめ、感想をもらうための仕組みが最初からある」と、文筆業を目指す人間にも有益な仕組みだと話した。
■ 「将来はブログからデビューする作家も」との意見に一同が賛成
室井氏は「原稿書きを仕事にしていない人でも本当に面白い文章を書く。『書く楽しみ』を皆が覚えてしまったのだろう。ライバルが増えてしまった」とコメント。「文芸誌の新人賞コンテストだけでなく、ブログからデビューする作家も出てくるだろう」と語り、吉井・花田の両氏も大きく頷いていた。
花田氏はさらに、「ブログはお年寄りにも向くのではないか。例えば50代以上で、自分史を自費出版したい人は山ほどいる。それがブログなら簡単にできてしまう。それに、本当に面白い自分史をブログで書いていれば、編集者の目に留まって本になる事だってあり得る」と、ブログの新しい利用者像にも言及した。
トークショー終盤では「今後、ココログをどのように使っていきたいか」という話題がテーマになった。室井氏は「頑張らないでやれるのが楽しい。現状維持を望む」。吉井氏も「私も同じ。無理をせず、変にリズムを変えることなくその時その時でやっていきたい」とコメント、日常生活にブログが深く根付いている様がうかがえた。
花田氏は「日記は時間が経つと面白くなる。山田風太郎の『戦中派動乱日記』などがいい例。ブログによって莫大な量の日記が生まれているだけに、20年後が楽しみだ」と編集者視点でブログの将来をまとめた。
■ 会場ではオリジナル軽食やサイン会も実施
会場入り口のロビーでも、休憩時間などを利用して様々な企画が展開。「枡野浩一のかんたん短歌blog」を単行本化した「かなしーおもちゃ」 の発売を記念して行なわれた、著者・枡野浩一氏によるサイン会には多くの人が列をなしていた。
ほかにも軽食サービスが実施。カレーのケータリングサービスを行なう東京カリ〜番長による「ココロ具カレー」など3種類の会場限定カレーのほか、オリジナルサンドイッチなどが振る舞われた。
■ URL
ココログブックスニュース
http://cbn.cocolog-nifty.com/news/
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(森田秀一)
2005/01/24 12:09
(impress Watch) - 1月24日15時32分更新
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050124-00000008-imp-sci