悪のニュース記事

悪のニュース記事では、消費者問題、宗教問題、ネット事件に関する記事を収集しています。関連するニュースを見つけた方は、登録してください。

また、記事に対するコメントや追加情報を投稿することが出来ます。

記事登録
2005年01月22日(土) 11時43分

偽造カード、スキミング被害が急増 集団提訴の動きも朝日新聞

 スキミングによって偽造されたキャッシュカードで預金を引き出すグループが、警視庁などに初めて逮捕された。偽造カードによる被害は昨年度から急増し、預金全額を引き出された被害者もいる。金融機関側はICカードの導入など偽造防止対策に乗り出し始めている。一部の被害者は「被害を知りつつ放置した」と、預金の返還を求めて金融機関を集団で提訴する動きを見せている。

 「1日の引き出し限度額を超えているため引き出せません」

 昨年3月、銀行の現金自動出入機(ATM)で預金を引き出そうとした東京都江戸川区の男性会社員(49)は、銀行側にそう指摘された。確認したところ、同2月27日から6日間にわたって連日500万円近く、計約3000万円が消えていた。引き出された回数は110回にのぼっていた。

 偽造団は、この会社員の預金引き出しに関与したとされる。ゴルフ場の貴重品ロッカーを開け、カードをスキミングしたとみられる。

 スキミングは「スキマー」と呼ばれるたばこの箱大の機器にカードを通し、口座番号などの磁気データを読み取る手口。データを盗難カードなどに上書きすることで、偽造カードをつくる。グループにはゴルフ場の関係者がおり、ロッカーの暗証番号を入手していた。この番号は4ケタで、カードの暗証番号と同じにする人が多いことに目をつけたとみられる。

 カードはもとに戻すため、盗難と違って被害者は気付きにくい。潜在化した被害が相当ある、との見方もある。会社員は「何が起きたのか訳が分からなかった」と話す。

 偽造被害は従来、クレジットカードが多かったが、03年ごろからキャッシュカードが急増した。多くはスキミングによるとみられる。

 クレジットカードの場合、カード会社が保険に入っており、利用者には被害が及ばないことが多い。一方、キャッシュカードは暗証番号を打ち込むことで厳密に本人確認がされたとみなされるため、他人による不正使用は想定外だった。ところが偽造団は、カードのデータと暗証番号を同時に盗み取っていた。

 盗難・偽造カードの被害者が昨秋に結成した「ひまわり草の会」は「被害が広がり、カードの安全性が崩壊しているのに、金融機関は根本的な対策をとってこなかった」として、近く約5000万円の返還を求めて十数人で銀行を提訴する方針だ。

 スキミング被害の実態を調べているNPO法人「日本情報安全管理協会」は「コンビニを含めカードの使える場所が増え、便利になった半面、安全性が追いついていない」と指摘する。

 一方、金融機関の取り組みは始まったばかりだ。

 金融機関のATMから不正に現金が引き出された場合、被害者は使ったカードの持ち主なのか金融機関なのかがはっきりしないため、捜査に乗り出しにくいという問題があった。このため全国銀行協会は昨年6月、法務省の見解を受け、ATMを管理する金融機関が窃盗容疑で被害届を出すなどの統一ルールを設けた。

 一部の銀行も1日の引き出し限度額を預金者が自由に引き下げられるようにしている。

 東京三菱銀行は昨年10月、IC化したうえに、手のひらの静脈で本人を確認するカードを発行。被害に遭った場合は最高1億円まで補償するとした。しかし、年会費が1万円以上かかるうえ、他行のATMが使えないなどデメリットも多い。

 日本郵政公社もIC化を検討しているが、システム変更が必要なため実現のめどは立っていない。

(01/22 11:42)

http://www.asahi.com/national/update/0122/009.html