2005年01月15日(土) 16時45分
ネットのマナー覚えて クイズ交え「心」も学ぶ−−NPO、小学校で教室 /静岡(毎日新聞)
◇主婦らのNPO、小学校で「教室」
主婦が中心となって活動している焼津市のNPO法人「e—Lunch」(松田直子理事長)が、インターネットを安全に楽しむための知識やマナー(ネチケット)を小学校の授業で教える「ネット安全教室」を始めた。長崎県佐世保市の小6同級生殺害事件をきっかけに「主婦の空いている昼の時間にネットの影の部分を教えられないか」と思ったのがきっかけだ。ネチケットを教える授業はまだ少ないのが現状で、注目を集めそうだ。【小林慎】
「残念! あなたの個人情報はとられてしまいました……。架空請求が来るかもしれません」。04年12月20日、焼津市小川の市立小川小学校のパソコン教室で開かれた授業の一コマ。6年生の児童たちが景品の抽選に応募するためのサイトで住所や氏名、生年月日を入力したところ、赤色の警告メッセージが画面に浮かんだ。これははもちろん架空のサイトで、都内の小学校が実際のネット被害を基に作ったものだという。
e—Lunchは、児童の興味を引きやすいようクイズ形式も取り入れながら授業を進める。途中で休憩を挟みながら90分程度。講師役は3人で務める。ネットの危険な部分については実例を使いながら学ばせ「インターネットは全部が危険なものではありません。しかし個人情報が盗まれたり、詐欺に遭ったりすることがあります。気をつけましょう」と児童に優しく呼びかけている。
NPOの母体は、焼津市内のIT関連会社が女性向けに開いていたパソコン講座だ。講師と参加者は「もっとパソコンのことを勉強しよう」と00年9月にサークルを結成。そのうちデータ入力の仕事が舞い込むようになり、03年4月にNPOを設立した。現在会員は33人で、公民館でパソコン講座を開くなどの活動をしている。
子供を持つ主婦の会員が多く「変なサイトを見てしまう」「いいことと悪いことをちゃんと教えないと」と、子供のネット利用に対し心配する声がもともと強かった。学校側の指導にも「受け持つ先生がパソコンに詳しいかどうかでかなり変わる」という不安感もあった。
そのさなか、04年6月に佐世保市でネット上のトラブルから小6の女子児童が同級生を殺害する事件が起きた。これをきっかけにNPOは、地元の焼津市立焼津西小学校と交渉を始め、同年7月の授業で初めてのネット安全教室を開いた。
ネチケットを教える際、最も心を砕くのが相手を思いやる心だという。松田理事長は「何気ない文字のやり取りで、傷つけてしまうことがある。思いやりが大切だが、まだメールをしたことない児童もいて分かってもらうのが難しい」と指導の難しさを痛感する。
NPOは今年度、志太地域の2市2町でつくる志太広域事務組合から資金援助を受け、小学校5校で授業をする。今後は他のグループとも連携し、県内全域に活動を広げるのが目標という。問い合わせは(054・626・3370)まで。
1月15日朝刊
(毎日新聞) - 1月15日16時45分更新
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