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目の不自由な人のための識別マークも透かしもなく、水につけると印刷がにじむ。初詣ででにぎわう全国の神社仏閣の露店などで使われた偽の旧一万円札について、警視庁幹部は「ほとんどが素人レベルの稚拙なつくりだ」と言う。
警察庁によると、昨年末から東京、神奈川、栃木をはじめ全国で使用された偽一万円札は、パソコンのスキャナーで真券を読み込み、プリンターで印刷したとみられるものがほとんどだ。
かつては高度な技術を持つ印刷関係者の犯行が主だった偽札づくりは、カラーコピー機の普及で容易になった。日本からの輸出製品を使った海外での紙幣偽造が相次いだため、主要メーカーは一九九二年から順次、偽造防止に取り組み、紙幣を複写すると黒くなるといった技術が開発、導入された。
しかし、高性能、低価格の個人向けパソコンやスキャナー、プリンターの普及に伴って紙幣偽造に悪用するケースが急増。事態を重く見た警察庁は九九年十一月から、業界団体「電子情報技術産業協会」に偽造防止策を取り入れるよう強く要請してきた。ところが、プリンターメーカーは高コスト化などを理由にこれまで消極的な姿勢に終始している。
警察庁幹部は「コピー機では対応してくれたのに…。引き続き協力を求めていく」と話す。しかし同協会担当者は「投げ売りともいえる価格競争の中で、偽造防止機能を採り入れた際の採算性やその機能が与える性能への影響などを考えると、メーカーが足踏みしているのではないか」と煮え切らない。
偽札に詳しい偽造通貨対策研究所の遠藤智彦所長は「パソコンで年賀状をつくる程度の知識があれば、誰でも偽札をつくることができる。偽造防止技術の開発や製品化にコストが掛かっても、メーカーは社会的責任として早急に対策を進めるべきだ」と指摘する。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20050113/eve_____sya_____007.shtml