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2005年01月10日(月) 08時15分

粉飾のツケ、倉庫に山積み カネボウ不正経理疑惑朝日新聞

 カネボウ旧経営陣による不正経理疑惑で、同社は、売り上げを多く見せかけるために売買を仮装して売れ残った在庫を大量に放置したり、焼却したりしていたことが関係者の話で分かった。こうした在庫は、決算書上は販売されたことになっていた。倉庫に山積みされた缶ジュースは腐食し、有名ブランドの服は次々と焼却されていたといい、食品や繊維など各部門で在庫隠しが常態化していたとみられる。

 旧経営陣が01、02年度に計300億円を超える粉飾決算をしていたことが、同社の経営浄化調査委員会の調べで明らかになっており、こうした在庫隠しの実態は粉飾行為を裏付けるものとみられている。

 同社元幹部によると、食品部門の生産拠点・高岡工場の倉庫で売れ残った炭酸飲料や缶コーヒーが段ボール箱に梱包(こんぽう)されたまま山積みになっているのを見たという。腐食した缶から液体が漏れて異臭が立ちこめ、さび付いた缶には数年前の製造年月日が記されていた。

 こうした在庫は決算書上、販売されたことになっており、虚偽記載が表面化するのを避けるため、他部門や取引先の倉庫に隠した。カップめんなどは焼却したが、缶ジュースは廃棄が難しく保管し続けたという。

 中部地方にあるカネボウ系運送会社の倉庫(広さ約1万6000平方メートル)には、数年前には50万枚前後の毛布が高さ約10メートルの天井まで積み上がっていた。522億円の資金が回収不能に陥った「興洋染織」(大阪府)との仮装取引に絡み、カネボウが買い上げた大量の毛布の在庫という。

 毛布はカネボウグループ内の繊維商社が引き受け、倉庫を所有する運送会社に保管料を支払っている。多い時で数千万円になるといい、海外に安値で販売するなど在庫減らしを続けているという。

 ファッション部門の元社員によると、同社がライセンス生産していた有名ブランドの服でも大量の在庫が発生。90年代後半まで東京都内の倉庫でコートなどの在庫が、毎年数億円分も増え続けたという。

 同部門では、過大な売り上げノルマ達成のため、決算期前に取引先の百貨店などに依頼して需要を上回る商品を販売して、決算後に返品させたり、返品後に別の取引先への販売を仮装したりすることもあった。その後、バーゲンなどで販売できなかった分は焼却処分にしていたという。

 また、化粧品部門の元幹部によると、地方の販売子会社などに集められた口紅など売れ残った化粧品の在庫を燃やしたり地中に埋めたりした。ビンなどは中身を抜いて、一部はリサイクルに回していたという。

 食品部門の元幹部の一人は「焼却などによる在庫処分は価格維持のためにかなり以前から行っており、経営が傾くと、粉飾隠しにも使われるようになった。日常的業務のような感覚だった」と話している。(01/10 08:15)

http://www.asahi.com/national/update/0110/005.html