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広島県福山市の特別養護老人ホーム「福山福寿園」で入所者42人が相次いで下痢や吐き気などの症状を訴え、うち6人が死亡した問題で、同園の岡田剛理事長(61)らは8日未明に記者会見し、「短期間で6人が亡くなり責任を感じている」と謝罪した上で、市保健所などへの通報の遅れが指摘されている点について「検便の検査結果が出るのを待っていた」と釈明した。市保健所は同日、原因解明のため同園から持ち帰った食材や発症者の便の検査を始めた。市は午後から同園への立ち入り調査を実施する。
会見した岡田理事長によると、死亡した6人のうち5人は寝たきりで、もう1人もほとんど寝たきり状態だったという。6人は普段は、2階に4人、3階に2人がいた。2階は2人ずつ同じ部屋だった。寝たきりの5人のうち4人は市販の流動食で食事をとっていた。また下痢などの症状を訴えているほかの入所者の中には、園でつくった給食を食べている人や、流動食の人が混在しており、同園は「原因が食中毒か感染症か判断できなかった」と説明した。
福山福寿園では、1月3日に下痢や吐き気などの症状を訴える入所者が急増したため、食中毒や嘔吐(おうと)・下痢症候群を疑い、4日に約70人の入所者のうち51人の検便をした。7日昼ごろに民間の検査機関から検査結果が送られてきたが、ベロ毒素や腸内細菌は検出されていなかった。多くの発症者が出た原因が分からなかったため、同園は福山市保健所に電話で相談したというが、すでに匿名の電話が保健所にかかってきた後だったとみられる。
岡田理事長は「治療活動に没頭しパニックになっていた。正しい対応だったのか分からない」とも話した。
亡くなった6人の遺体はすでに火葬され、遺体からは死因の特定ができない。保健所はとりあえず発症者の便などから検査を始めるが、原因究明が難航する可能性もある。
同園は近く、入所者や遺族への説明会を開く。ショートステイやデイサービスも原因が判明するまで中止するという。
福山市保健所によると、福山市内では12月に入って、ロタウイルスやノロウイルスなどが原因で腹痛や下痢、吐き気の症状が出る感染性胃腸炎が流行していたという。
ロタウイルスによる胃腸炎は冬から春にかけて、主に便が口に入る感染経路で乳幼児で起きやすいが、まれに老人施設での集団発生を招くこともある。ノロウイルスによる胃腸炎も冬に発生しやすいが、こちらは貝などの生ものを食べることが原因になることが多い。抵抗力が弱い子供やお年寄りの場合、悪化することがあるという。
(01/08 12:18)