2003年09月13日(土) 00時25分
<開示命令>ファイル交換ソフトでプライバシー侵害 東京地裁(毎日新聞)
インターネット上で不特定多数の人とデータを交換し合うファイル交換ソフト「WinMX」を使って、名前や住所、電話番号などを無断で公開された2人が、発信元を突き止めるため、プロバイダー責任制限法に基づき、接続業者「パワードコム」(東京都港区)に発信者情報の開示を求めた訴訟で、東京地裁は12日、発信者の住所と氏名の開示を命じた。菅野(かんの)博之裁判長は「プライバシーを侵害されており、法が定めた開示要件を満たす」と認めた。
原告側弁護士らによると、掲示板に中傷するような表現を書き込んだ人物の情報を開示するよう命じた判決はあるが、ファイル交換ソフトを巡る判決は初めて。
争点はファイル交換ソフトによる発信が、プロバイダー法の定める情報開示の要件を満たすかどうかだった。パ社側は「法の対象外」と主張したが、判決は「発信者はソフトの使用者なら誰でもデータを取得できる状態にしており、法の定めた『不特定の者への送信』と言える」と認定した。
原告は昨年5月、エステサロン「TBC」(東京ビューティセンター)のホームページから個人情報が漏えいした被害者約3万人のうちの2人。流出した情報がネット上でやり取りされ、被害が拡大するのを防ぐため、TBCの支援を受けて提訴した。TBC側は今回の訴訟を含め、同種の訴訟を全国で10件起こし、うち2件は和解している。【小林直】
原告側の早川忠孝弁護士の話 ファイル交換ソフトを使用した発信者の個人情報も開示されることが明らかになった。匿名性のかげに隠れ、プライバシーを侵害する行為が大幅に抑止されるだろう。
パワードコムの話 判決内容を検討中で、現段階ではコメントできない。(毎日新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030913-00000125-mai-soci