東京都新宿区信濃町の「帝都典礼ビル」で、近くのそば店店主塚田敏雄さん(74)がエレベーター内の地下1階床に転落して死亡した事故で、保守管理を行う「三精輸送機」(本社・大阪府吹田市)が18日、都内で会見し、1975年に管理を請け負って以降、手動式扉の安全装置を交換していなかったことを明らかにした。同装置に何らかの不具合が生じて事故を引き起こした可能性があり、警視庁は、業務上過失致死容疑も視野に同社関係者から事情を聞いている。
会見した三和正明社長ら同社幹部によると、このエレベーターは、手動式扉の上部に扉の開閉を防ぐための安全装置(フック)が設置され、かご本体が到着した階だけ、フックが機械的に外れて開閉が可能になる仕組み。鉄製のフックの耐用年数は10年だが、同社で事故後に記録を点検したところ、少なくとも75年以降の34年間、交換したとする記録がなかったという。
同社子会社の今月4日の点検では、安全装置は正常に作動していた。だが、事故当時、かご本体が5階に停止していたのに、1階の手動式扉は開いていた。
安全装置を交換しなかった理由について三和社長は、「月2回の目視点検で部品の異常が確認されなかったため」と説明した。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20090218-OYT1T00838.htm