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2008年11月30日(日) 08時01分

止まらぬ原油下落 需要減、上昇は期待薄 OPEC減産見送り産経新聞

 石油輸出国機構(OPEC)は29日の緊急会合で追加減産を見送ったものの、12月にアルジェリアで開く総会では減産に踏み切る公算が大きい。ただ、米国発の金融危機に端を発した景気低迷により、需要は世界的に減少しており、原油価格の国際指標となる米国産標準油種(WTI)は1バレル=50ドル台の低い水準にある。減産しても直ちに原油価格が上昇反転するかは不透明な情勢だ。(内田博文)

 OPECは11月から日量150万バレルの減産に乗り出したが、WTIはその後も下落し、11月20日には同50ドル割れまで急落した。今年7月に同147ドル台と過去最高を記録してからわずか4カ月後のことだ。足元も50ドル台で推移しており、底打ち感は見られない。

 米国市場では、金融不安を引き金に投資ファンドなどが原油先物相場から資金を引き揚げており、様子を見るムードが強い。

 また、景気の先行き悪化懸念から需要も減退しており原油、ガソリンとも在庫が大幅に積み上がっている。

 米エネルギー情報局(EIA)の週間在庫統計(21日時点)によると、原油在庫は前週比730万バレル増の約3億2000万バレル、ガソリン在庫も同190万バレル増の約2億バレルと市場予想を大幅に上回った。日本エネルギー経済研究所の永田安彦研究主幹は「減産先送りにより市場心理が冷えれば、一段安もあり得る」と指摘する。

 需給の緩みは日本も同様だ。資源エネルギー庁の石油統計速報によると、10月のガソリンなど石油製品の国内販売は前年同月比13・1%減の1589万キロリットルと、5カ月連続で減少。レギュラーガソリンの全国平均価格(25日時点)は1リットル=127・9円と平成17年8月以来、約3年3カ月ぶりの安値水準にある。

 このため石油元売り大手の出光興産は10〜12月の石油製品の減産幅を15%に拡大するほか、新日本石油も11〜12月の減産幅を21%に上げて対応する。

 こうした需要の落ち込みが続く中では減産による原油価格の上昇は期待できず、景気の悪化とともに下値を探る動きが続きそうだ。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081130-00000042-san-bus_all