記事登録
2008年11月30日(日) 09時09分

中小企業の景況感最悪 輸出減直撃、雇用減14%が検討中国新聞

 中小企業の景況感が過去最悪の水準に落ち込み、自動車、家電などの輸出減少が下請け企業を直撃していることが二十九日、商工中金や日本政策金融公庫の調査で分かった。

 同公庫が調査対象とした企業の約14%が、雇用削減を検討していると回答。政府が資金繰り支援のために新設した「緊急保証制度」の利用は二十七日までの約一カ月間で約二万七千件に達した。

 年末から年明けにかけて経済情勢が一段と厳しくなるのは必至。銀行の融資姿勢も厳しくなっており、政府は景気対策の実行加速を迫られそうだ。

 一千社を対象にした商工中金の調査によると、中小企業の十一月の景況判断指数は前月比二・五ポイント低下の三五・一と、一九八五年の調査開始以来、最低だった。

 自動車などの輸送用機械は一五ポイント低下、金属製品が一一ポイント低下と落ち込み幅が大きかった。家電メーカーの下請けが多い電気機械も六ポイント下がった。

 米国や欧州の金融危機で世界経済の成長は減速しており、自動車、鉄鋼、電機などの主要産業で減産が拡大。設備投資にも慎重になっていることが、中小企業の受注や販売に打撃を与えた。

 一方、政策公庫総合研究所の十一月の中小企業景況調査(回答企業五百七十六社)では、従業員を減らそうと考えている企業の割合が十月の9・6%から14・3%にはね上がった。「派遣社員らの削減が急速に広がっている。雇用情勢は今後さらに悪化する」(経済産業省幹部)とみられる。

 今後三カ月の売り上げ見通しは、減少を覚悟している企業が、売り上げ拡大を予想する企業を大きく上回った。

 経産省によると、十月末から市町村の窓口で受け付けを始めた緊急保証制度(保証枠六兆円)には申し込みが殺到。手続きに六時間かかるケースもあり、資金繰りに追われる中小企業が多いことを裏付けた。

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200811300119.html