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2008年11月30日(日) 09時09分

唯一航路廃止、誘致も難航 フェリー消える室蘭市中国新聞

 北海道室蘭市と青森市を結んできた東日本フェリー(北海道函館市)のフェリー航路が、三十日深夜の室蘭発の便を最後に廃止される。燃油高騰などの影響を受けたもので、唯一のフェリー航路を失う室蘭市側の経済的損失は大きい。市は新たな航路誘致を目指しているが、難航している。

 室蘭—青森間航路は東日本フェリーが九月、撤退を表明。その後、子会社が航路存続の道を探ったが、年間赤字額が約六億円と見込まれるため最終的に存続を断念した。

 室蘭市によると同航路は家畜や野菜などの物流航路。廃止後は八戸—苫小牧間が利用されるとみられ、経済的損失は室蘭港で船のメンテナンスに携わる業者だけで年間約九千万円に上るという。

 新宮正志しんぐう・まさし市長は十月、名古屋や大阪のフェリー会社四社に航路開設を要請したが、いずれも「燃油高で経営が厳しく難しい」との反応に。同市と周辺二市三町は「室蘭港フェリー航路誘致促進期成会」を設立し、北海道開発局などに要望書を提出する予定だが、実現の見通しは立っていない。

 大阪府立大の池田良穂いけだ・よしほ教授(船舶工学)は「フェリー事業の約八割は物流で、二酸化炭素(CO2)の排出削減にも役立つ」とフェリー事業の利点を強調するが、日本長距離フェリー協会の三膳良二みよし・りょうじ専務理事は「高速道路が今後安くなると競争はますます厳しくなる」と経営環境の厳しさを指摘している。

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200811300140.html