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2008年11月30日(日) 02時30分

<愛知裏金>監査委員も昨年指摘 消耗品の在庫管理提言毎日新聞

 愛知県の裏金問題で、神田真秋知事ら県幹部が07年9月、代表監査委員から消耗品の在庫管理の必要性を指摘されながら、今年10月に消耗品の架空発注による多額の裏金作りが発覚するまで対策を取っていなかったことが分かった。消耗品の在庫管理のずさんさを背景に、同県では裏金作りの手口を悪用した公金詐取事件が相次いでおり、県幹部の問題意識の低さが浮き彫りになった。

 県によると07年9月6日、06年度の監査報告に伴い、監査委員と知事ら県幹部との懇談会が開かれた。同7月に名古屋西部県税事務所の元職員が消耗品の架空発注で作った裏金の詐取容疑で逮捕された事件を受け、知事は「不正な事務処理で、ご心配をかけて申し訳ない。注意すれば防げた」などと謝罪した。

 これに対し深谷憲彦代表監査委員は、元職員の架空発注を監査で見抜けなかったことを明らかにし「消耗品の払い出しがきちんと管理されていないので、第三者が検査・監査しても分からない。せめて年度末の(在庫)状況は把握しないといけない」と指摘した。

 同県は単価3万円以上の物品を「備品」、3万円未満を「消耗品」と区別している。1986年度までは消耗品の出納簿も作成していたが、事務の合理化などを理由に87年度から廃止し、備品の出納簿だけとなった。代表監査委員の指摘を受け、出納事務局内で消耗品の出納簿の復活を検討したが「費用対効果が少ない」として見送ったという。

 しかし今年10月、建設、農林水産事務所で02〜06年度に消耗品の架空発注による裏金作りが行われていたことが発覚。出納事務局は同28日、物品発注の際に在庫数量を確認するよう制度を改めた。同29日には新城設楽農林水産事務所の元職員が、同様の手口で作った裏金の詐取容疑で逮捕された。

 神田知事は取材に「懇談には(出納を管轄する)会計管理者も同席しており、会計管理者が事務処理の有りようを検討したと認識している」とコメントした。【秋山信一】

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