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2008年11月30日(日) 02時30分

<ムダ・ゼロ会議>3500億円削減可能 公益法人への支出毎日新聞

 行政の無駄を09年度予算から削るため政府の「行政支出総点検会議」(座長・茂木友三郎キッコーマン会長)がまとめた提言案の全容が判明した。国などから公益法人への支出を06年度比で37%(約3500億円)削減可能と指摘。公共事業と政府開発援助(ODA)も、08年度からの5年間で07年度比15%のコスト削減を求めている。ただ、景気の悪化を受けて政府・与党内で歳出圧力が高まっており、提言がどこまで予算編成に反映されるか、不透明な部分もある。

 12月1日の会議で正式に決定し、茂木座長が麻生太郎首相に提出する。

 提言は公益法人に関し(1)事業を廃止・縮小する(2)競争性ある契約方式へ移行する−−ことなどを明記。それらの実施で09年度は、06年度から約4100億円の支出減は可能と試算し、新規事業分があっても約3500億円削減できるとした。

 「居酒屋タクシー」が問題化した各府省のタクシー代は08年度比で25%以上削減し、深夜帰宅のタクシー利用は午前0時半以降に限定する。広報経費・委託調査費も同年度比25%以上減らし、公務員のレクリエーション費も原則廃止する。

 行政の無駄がなくならない背景を「職員一人一人のコスト意識が乏しい」と指摘し、各府省に09年1月末までにプロジェクトチーム設置を求める。

 特別会計では「依然、不要不急の事業が行われている」とし必要な剰余金や積立金の基準額を国民に説明するよう促す。5兆4000億円の積立金が見込まれる労働保険特別会計の失業等給付は「国費投入を行わないことを含め、見直すべきだ」とした。

 地方自治体も「問題意識を共有すべきだ」と強調し▽福利厚生事業や補助金の見直し▽地域の民間給与水準を公務員給与に一層反映させる−−などを総務省が地方自治体に働きかけるよう促す。

 同会議は08年7月、福田康夫首相(当時)が「ムダ・ゼロ政府」を掲げ、行政と関係の深い公益法人への政府支出の3割削減を表明したのを受けて発足。東国原英夫・宮崎県知事やジャーナリストの嶌信彦氏らがメンバーとなった。行政の無駄を削ることで消費税引き上げに向け国民の理解を得る狙いもあった。【坂口裕彦】

 ◇行政支出総点検会議の指摘事項要旨

1 はじめに(略)

2 公益法人への支出

 (1)事務事業の廃止・縮小(2)競争性ある契約方式への移行(3)公益法人への委託等の見直し−−で、06年度支出額約9400億円を09年度見込み額約5900億円に約37%削減

 各府省は09年度の支出実績をホームページ等で公表

3 特別会計の支出

 労働保険特会の失業等給付に国費投入を行わないことを含め、見直し

 独立行政法人雇用・能力開発機構の「私のしごと館」は業務廃止。施設は売却先を検討

 剰余金・積立金は、処分のあり方や必要な水準の根拠を示した定量的資料を公表

4 行政コスト節減

 【公共事業・ODA】08年度から5年間で07年度比15%の総合コスト縮減【防衛装備品】11年度までに15%のコスト縮減【広報経費・委託調査費、タクシー代】08年度比25%以上削減【レクリエーション経費】08年度の執行凍結、09年度原則廃止【随意契約】競争性の高い契約方式に移行

5 政策の棚卸し等(略)

6 各府省の自律的取り組み体制の確立

 各府省に09年1月末までにプロジェクトチーム設置

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