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2008年11月30日(日) 03時07分

「裁判員」来た、候補者通知に戸惑いや意欲読売新聞

 司法の歴史に新たなページを開く裁判員制度が半年後に施行されるのを前に、候補者になったことを知らせる通知が29日、全国各地の国民のもとに届き始めた。

 戸惑いや重圧を感じた人、参加に意欲を示す人……。思いもよらない通知の到来に、候補者たちは様々な表情を見せた。

 「刑事裁判と民事裁判の違いもわからない。法律の知識がないのに、人を裁けるのだろうか」。「裁判員候補者名簿記載通知書」を受け取った東京都新宿区の70歳代の無職女性は、まず不安を感じた。

 経理や秘書の職歴が長いが、今は時間的余裕がある。70歳以上の人は辞退できるとはいえ、「候補に選ばれた以上、引き受けたい」と前向きで、「これを機会に法律も勉強したい。そうしないと、法廷で被告人や検事の話を聞いてもわからない」と意欲を示した。

 さいたま市の40歳代の女性派遣社員は、「『私のような者が人を裁いていいのか』と、血圧が上がる思い。説明の文書を読んでも、よく分からないし……」と困惑気味。ジャニーズファンというこの女性は、同封されたパンフレットを読み、「コンサートと裁判の日程が重なっても、辞退できないことは理解できました」とため息をついた。

 前日の28日が誕生日だった千葉県内の30歳代の男性会社員は、「誕生日プレゼントと言うには心に重い」と苦笑い。調査票の返送の締め切りが12月15日(必着)という点に、「封筒を開けずに放置する人もいるだろうし、長期出張や旅行中の人を考えると、短すぎるのでは」と疑問を示した。

 福岡県の30歳代の男性会社員は午後、郵便受けに入っていた「最高裁判所」と書かれた封筒を見て候補者に選ばれたと気付いた。夫婦共働きで2人の幼い子供がおり、「ベビーシッターを頼んでおり、日程的に不安もあるが、貴重な経験なのでやってみたい」と語った。

 ◆辞退への質問370件◆

 最高裁はこの日、候補者の不安や疑問に答える電話相談窓口「裁判員候補者専用コールセンター」を東京・赤坂に開設。初日の問い合わせは計約870件で、辞退に関する質問が少なくとも計約370件に上った。

http://www.yomiuri.co.jp/feature/20081128-033595/news/20081130-OYT1T00167.htm