記事登録
2008年11月30日(日) 15時01分

旧野津の一家6人殺傷:心の傷、今も癒えぬ 遺族男性が胸中語る /大分毎日新聞

 ◇犯罪被害者支援センター会合
 00年に野津町(当時)で起きた一家6人殺傷事件の被害者遺族男性(51)が29日、大分市であった大分犯罪被害者支援センター(金子進之助理事長)の会合で、胸中を語った。今も癒えぬ心の傷や、家族への思いを吐露しつつ、被害者側に立った裁判の充実などを約200人に呼びかけた。
 「家族で支え合って生きている。周囲の支えも力を与えてくれた」。時折、涙交じりになりながら、男性は事件後8年間の生活を振り返った。命をとりとめた子どもに家族が亡くなった事実を知らせたつらさ、「自分が死ねばよかった」と責める苦しみも明かした。
 子どもには、加害男性(当時15歳)について「許さなくてもいいが、恨まないで」と話している。「人を恨んで生きるほど不幸なことはない」。35歳まで年2回、反省状況などの報告を約束しているが「本当に反省しているなら、35歳を過ぎても情報を知らせてほしい」と語った。
 また、殺人などの事件を巡るマスコミ報道について「(当時は)畑などを踏み荒らす関係者もいた。被害者の思いをくみ取ってほしい」と提言。来年5月に始まる裁判員制度については「審理は短期間になる。ショックから回復しない被害者がどう意見を言うのか」と課題を指摘した。切々とした訴えに、会場には涙を流して聞き入る人もいた。
 ほかに金子理事長や、三井嘉雄弁護士が、被害者支援の状況などを報告。当時の県警、保健所などの担当者を招いたパネル討論もあり、それぞれの立場から課題や成果を報告した。【小畑英介】

11月30日朝刊

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081130-00000177-mailo-l44